ローマ地下鉄事情。

ローマの地下鉄は圧倒的に不便です。


いまさら何を、と言う感じですが、ローマの地下鉄は不便です。ええ、それはもうものすごく。
だいたい、地下をほったら遺跡に当たってしまうという状況が本当なので文句も言えないのですが、ローマ市内をたったの日本、まあちょっと違うけど左上から右下、左下から右上、って感じでしかはしってないのです。
しかも。それはローマ市内、という広げた枠の中の話で、普通の旅行者が普通に観光する「歴史的中心部」の中にある地下鉄の駅は4つくらい・・かな。
中央駅のあるテルミニ(これが日本の地下鉄が唯一交差するところ)、そのとなりのレプブリカ、バルベリーニ、そしてスペイン広場のあるスパーニャ。あとは・・ちょっとはなれて、バチカン美術館のあるオッタビアーノ、くらいしか、旅行してる時には利用しません。
しかもしかも、です。そのうちテルミニからスパーニャまでの4駅は、特に地下鉄などに乗らなくても歩けてしまう、というか、地下に降りて、地下鉄を待って、地上に上る、ということを考えると(後切符を買うのもかなりめんどくさい!!)歩いたほうが早いんです。一番離れてるスパーニャからテルミニまでで、ゆっくり歩いて20分だもん。

というわけで私はほとんど乗らない地下鉄。
というわけでイタリア人もほとんど乗らない地下鉄
実際、乗って見るとわかることですが、スーツを着たビジネスマンっぽいイタリア人が地下鉄に乗っていることはものすごく稀です。乗っているのはだいたい、ちょっと郊外からローマ中心部に出てくる若者とか、移民系の人々、あとは観光客(バチカンに行くときだけは、便利だしね。)。いえもちろんイタリア人はいますよ。ただ「庶民の足」と言う感じではないんだよねえ・・
地下鉄で動くのがすべての基本である東京出身東京育ちの私としては、まったくもってアンビリーバブル、な不便さの上。

これがまた、怖い。

ふつうの日本人の奥様方やジェントルマンが乗ったら、びびることうけあいの暗さ。そして怖さ。そして汚さ。
治安も、まあ殺されるってことはないですが、スリは横行してるし、怪しい風体の人が無意味に近寄ってくることもしばしば。おまけに臭い。
とくにテルミニ駅からA線に乗るときなんかは、このまま三途の川を越えてしまうんじゃないかってくらい地下に潜りまくって、しかも大魔王の住処に違いないと確信するほど暗黒の闇に閉ざされてるんですってば。

最近、「地下鉄を有効利用しよう!」というキャンペーンがはられ、地下鉄警備隊とでもいうような制服姿の若衆が大量投入されましたが、彼らもなにかっていうと二人でおしゃべりしているか、女の子を眺めているか、で、なんかちっとも頼りになりません。
これだからイタリアはいやなのよー!! 実際パリの地下鉄に乗って、どれほど安心したことか。ああローマ。どうしてだ。君は近代都市としての誇りがないのか。

わたくし今回もお金をねだる若い女の子とバトったりちかよってくるオバサンを払いのけたり、大変でしたわ。
そりゃ乗りたくないよ。わざわざねえ。あんな地下鉄。よっぽどのことがなければ乗らないって。
まあ以前は一時間くらい来なかったりしたけど、さすがに最近は10分おきくらいに来るようになってますが、もちろん時刻表などはありません。ええ。
なので、間違っても地下鉄に乗ることはお勧めしませんが、かといってバスもまた似たり寄ったり。さすがに全市内を網羅してることはしてるけど、種類がおおすぎてよっぽどローマに精通してないと、正しいバスに乗って正しい停留所で降りるというのはむずかしいんですよー。
ま、基本的には小さい町なので、歩け歩けローマ、で何とかなるんですが、体力ない人には厳しいか・・

だがしかし。
今回はわたくし、地下鉄で感動することがありました。
ちょっと遠くまで出かけるときに、ちょっと長いこと地下鉄に乗っていると、毎年、かならずといっていいほど出くわすジプシー兄弟(ジプシーって差別用語だ、とご指摘いただきましたが、ここでは本来の意味、定住せずに各地で芸を披露したりしながら生きてゆく民族という意味で。)がいるのですが、彼らが今回も乗り込んできたのです。
お兄ちゃんはアコーディオン、弟はバイオリンで2曲ほど奏で、マックの紙コップに小銭をいれてもらって、さっさと降りていく兄弟。
それがさあ。
去年より、上手くなってるの!!!!
わたくしは不覚にも、涙してしまいました。そういう生き方(人にお金を恵んでもらうってことね)を小さい頃から義務付けられている、というかそれが民族としての生き方なので、そこに是非はないような気もしますが、とにかく、そういう環境下で音楽を奏で、それでも上達するという芸術のあり方というかなんと言うか、そういうのを本当の才能というのかもしれない、と。

基本的にお金をあげるのがキライなわたくしですが(ケチだからじゃないのよ。主義の問題なんだけど・・それはまた別の機会に。)、思わず200円以上もあげてしまいました。これは結構破格のチップなのよ。イタリアの値段に換算すると、500円近いもん。

でさ、お金を紙コップに入れながら、その男の子(弟君。推定年齢7歳くらい?)に、もう一曲やってくれない? というと、彼はにっこり頷いて、お兄ちゃんの元に返り、一言二言かわすと、
・・ふりかえりもせずにさっさと降りていきました。
ま、もう一曲やっても同じ客層からじゃ、これ以上なにももらえないしね。
そういうしたたかさもまたよし。と許せてしまうほどに、素晴らしい演奏だったのですわ。

怖くて臭くて疲れるし大嫌いな地下鉄だけど、たまには乗って見てもいいかな・・と・・なんていってももう既に誰も乗りたくないでしょうね。
ええ、わたくしもお勧めしません。
ローマに行ったら、歩け!!


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