恐るべきお嬢さんがた(シニョリーネ)。

シニョリーナ。複数形にすれば、シニョリーネ。

なんかやたらとかわいらしいこの呼称ですが、いやいやどうして、イタリア女性、やっぱり一筋縄では行きませんわよ−。
というか、私は、皆さんご存知のとおり楽園育ちで、周りに、いわゆる「女のいやらしさ」みたいな物を持った女性というのが、いないんですわ。
自慢じゃないけど、私の友達は才色兼備ぞろいなのよ−。学生時代の親友から、いまの魂の片割れにいたるまで。それほど数多いわけじゃないけど、みんな本当に美人で頭もよくて、そしてその女のいやらしさっていうヤツがすこしもない、小粋に小脇に心意気な人たちばかり。
そういう人たちに囲まれて生きてきたわたくしにとって、ごく一般的なイタリアのお嬢さんが他というのは、みてて恥ずかしくなるところがなきにしもあらずというかなんというか。

さあ、はじめよう。(みんな待ってるでしょー!イエーイ!)
まずは。

君たち、男のいる前で態度変わりすぎ。

それはみんなそうかもしれないけど、もうえげつないほどよアナタ。
私のとても仲のいい女友達は、彼氏と一緒に住んで、ラブラブな雰囲気満載だったわけです。ね。
で、二人のおうちに遊びにいったさ。彼女の手料理を散々飲み食いして、和気藹々な雰囲気でホームパーティーは進んでいったわけです。
そしてあるとき、彼の方が、犬におしっこをさせるため、部屋を出て行きました。
その瞬間。
「でも彼ったら、ほんとーにしょうもないのよ。第一顔が悪い。わたし、彼と一緒に寝てるけれど、セックスはほとんど断ってるの
・・をい・・。
ついさっきまで「もうダーリンったら優しいんだから! そうそうこの間もね、彼がこのブーツをプレゼントしてくれて・・」っていってたんちゃうんか!
しかもしかも。
その場に居合わせたもう一人の女友達がのたまうに。
「そうよねー。私もそうだと思ったの。あなたに彼じゃあ、ちょっとねえ・・
・・をいをい。
いわんぞそれは、いかに親友でも。
ついさっきまで、「本当に仲良くってうらやましいわー。ほんと、理想的な恋人よね」
とかいってたのにぃぃぃ。
いや、たしかにドラマ等を見ていると、日本でもそういう事ってあるのかもしれません。
だがしかしわたくしは、目の前で繰り広げられるその凄絶なまでの変身に唖然としたことはいうまでもありません。
だってさ、彼が部屋を出て、ドアをパタン、と閉めるや否や、の出来事なのよ−!!
彼女も、いきなり足とか組んじゃって、悪女モードはいるし。いやいや。こわいっす。

さらに、これは電車の中で目撃した光景。

とある、大して可愛くもないおんなのこが、ひとりで、電車にのっていました。
イタリアの電車というのは基本的に長距離なので、それも、ローマからどこか違う都市に行くための電車なのね。
でもその日は込んでいて、座る席が満杯だったので、わたくしも彼女も扉付近のデッキっていうの?あの立ち乗りスペースで、地べたに座り込んでいたのです。
とはいえ長距離電車、旅行者が多い。私もフィレンツェに行くところだったし。
そのイタリア人の女の子も、旅支度であらせられました。イタリア人の旅支度って言うのはこれがまたダサい。というか、まあその後の会話でもわかるように、田舎の子だからまあしょうがないというのはあるとしても・・まあいいや。

それで、そこに、さらにだっさい旅支度の男の子が一人登場。
私はめんどくさいので、とりあえず目をそらしました。
ここでイタリア語がしゃべれるなんてことがばれると大変な事になるので、知らぬ存ぜぬが一番です。
そこで、彼のターゲットはもう一人の子に決定!(二者択一、ってワケじゃないんだけどさ・・)
そして彼は言いました。
「どこにいくんだい?」
少し驚きつつ、はにかんだようにこたえる彼女。
「ラヴェンナよ。帰るとこ。」
ラヴェンナといえば、初めての教皇領となった事で有名な中世の小都市。ま歴史はあるけど流行は届かない、ありがちなイタリアのマニアック観光スポットですね。モザイクで有名。
「ラヴェンナか・・一度いった事があるよ」
はいはい。はじまったよ。
うんざりしながら遠くを見るわたくし。なら聞くな、といわれそうですが、すぐそばの会話で、いやでも耳にはいってくるんだもん!
「あそこは、桜の花が綺麗だ。」
「そうね・・」
なにやらいい雰囲気になってきましたな。お二人さん。
「そして、女性の目が綺麗だね。そういえば、君の目もとても綺麗だ。
はいはい。
これがジェームズ・ボンドとボンドガールの会話なら、わたくしは横で拍手をするでしょう。
しかし、どうにもイケてない二人の会話ですよ−。皆さん注意よ−。
日本人はとかく、イタリア人とかフランス人とかヨーロッパ人とかいうと、美人でかっこいいんじゃないか、と思ってしまいがちですが、甘い。
甘すぎる。
イタリア人でも美人がいるように、ブスもいるし。
それはまあ仕方ないとしても、世界で最も流行に敏感な街の一つ・トウキョーで生まれ育ったわたくしには、イタリア人は基本的にダッサダサなの!
だっさいイタリア人二人でこんな会話繰り広げられても、もうもうもう。

しかし話はそこで終わらないのです。
はにかみながら嬉しそうにしていたお嬢さんのお友達が二人、遅れて到着。
「あ、友達が来ちゃったわ。」
「ああ、じゃあこのデッキが狭くなっちゃうね。せっかく話せたのに残念だけど、僕は隣のデッキに移動するよ。またあえるといいね」
「そうね」
といいつつ、男は去り、女は友達と合流。
その瞬間です。
友達1「だれ、あいつ?」
女の子「いやなんかさー。あのクソでかい荷物もって、うろうろはいってきてそれだけで邪魔だって言うのに、うざいことはなしかけてきてー。」
友達2「なんだって?」
女の子「ラヴェンナは桜と女性の目が綺麗とかっていってんのよ!!ああああ、ださ。これだからバカな男は・・」
全員「どええええええ。ばかじゃん」

・・・いや、それはね。
まあ、いってることは間違いないんだけどね。
これって、日本でも普通の事ですか? ちなみに私なら、最初の時点で、猫手パンチで撃退です。

っていうかねえ・・
イタリア人て基本的に、ものすごく表層的で見栄っ張りでねこっかぶりなんですよ。男もそうだけど、女はさらにそこに媚態が加わるからなぁ・・
イタリア人は開けっぴろげで嘘がなくて裏表ない、なんてまったくのイメージ。
彼らほど裏表があって陰口好きな人種はいないといっても過言ではありません。あたしだって何言われてることやら。ですよ。

至上命題ともいえる、恋愛対称である男たちと、同性の友人である女性と、どちらを大切にするか、というのって、日本でも結構難しいじゃないですか。
私にとって、と言うことでいってしまえば、約束がダブったら、恋愛相手を優先します。
でもそれは、彼氏のほうが大切−。ということじゃなくて、女友達のほうが「甘えても許してくれる」からかなあ。
女同士ならその辺、「すまぬ。わかってくれい」でわかる、というのがあるじゃないですか。男の人はそうはいかないからね・・
しかしイタリアの女たちは、結構えげつないです。というかすべてが表層的なバランスの中でこなされていくので、そんな天秤は彼女たちの心の中にはないのです。
彼氏といるときは、めちゃくちゃ彼氏を愛しているように。女友達には、常に彼の悪口を。
彼氏と女友達が同席しているときは、主に、彼氏に対しては従順な妻のように、友達にはしっかりケアをしてあげる母親かなにかのように。

わかってるのよシニョリーネ! アナタタチはうそつきなのではなく、軽いの。
深く考えちゃ−いないのよ。その場でいうことは、その場では本気なのよね・・わかってるわかってる。
ただその本気が、まさにその場だけの本気で、軽いのよね・・

ある意味、常に精一杯。
その場の雰囲気だけでなされる本気の会話の応酬。
ある意味人生すべて舞台。舞台裏なんて存在しない、常に一場一場をこなしていく明るさ、軽さ。

だから彼氏と親友どっちが大事、なんてことはないのよね−。
でも約束ダブったら・・そりゃ男だよな。

そうかー。八方美人。これか。
すべて本気の八方美人。だから余計始末に悪かったりしてね。裏なんてないの。
たとえば、陰口をたたくにしても、それは本音を信頼できる誰かに打ち明けてる、というよりは、その場にいる人たちへのリップサービス。

教訓・イタリア人の言ってることは、全方面で話半分で聞きましょう。
ってことで、どうっすか。(だから誰に聞いている?)


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