イタリア都市と広場。

じつは以前、しかもだいぶ前。20000ヒットを踏んでくださったヘル・シッド騎士団長に、シエナのカンポ広場について書け! とのもったいない命令を拝領いたしまして。
書こう書こうとは思っていたんだけど、やっぱりシエナに行った事もないわたくしにそれは無理!と観念しまして、「シエナのカンポ広場」というお題のうちの「広場」だけをとりだして書かせていただいた挙句にヘル・シッド騎士団長に捧げさせていただきます。なにそれ。

まあそういうわけでいろいろ誤魔化しつつ本題に入るわけですが、イタリアの各都市にとっての広場というのは非常に重要です。
イタリアだけじゃなくヨーロッパ全体・・実地で知っているところではみんな重要。
たとえば市役所とか、町を治める貴族のお屋敷とか、とにかくその町の中心といわれるところには必ず広場があり、というか、その広場がまさに町の中心なわけですね。
今の東京とかと比較しちゃうと、ディメンションが違いすぎてなんともいえないんだけど・・っていうかさ、日本だと、たとえばあんまり覚えてないけど国会議事堂には広大な庭があるような気がするし、確か京都御所の周りも広大な公園(わたくしはここでボルゾイとドーベルマンを見たわ。とまた、わかりにくいネタを・・)だったりして、ある意味広場といえるのかもしれないんだけど、ヨーロッパの広場というのはそれとはちょっと違う。公園じゃなくて、広場。

公園は公園として、それはあるわけよ。広場というのは・・概念としては、交差点なんだよね。多分。
いや、無数にある広場を道がつないでいる、と考えたほうがいいかしら。
どの道も、ほぼ必ず、どこかの広場から伸びて、別の広場で終る。
だから広場はいつも交通の要所であり、人々が行き交う生活の中心であり、しかし公園のようにある意味「日常からちょっとはなれて一休み」みたいな意味合いではなく、日々の生活の中で自然に通り、立ち止まり、そして通り過ぎるアクセント。という感じ。

イタリア語だとピアッツァ、というのが広場、という意味の言葉なんだけど、カンポというのも「野原」みたいな意味で、まあほとんど広場と同義です。だからシエナの「カンポ広場」というのは、広場な広場、ということになるかなあ。
基本的に広場というのは人工的な装飾が美しいところです。緑溢れる公園とは対照的に、石畳、大きな建築物、噴水、彫刻で飾られております。
今一生懸命、日本で広場といえるものってあるかなあ、とか思って考えたんだけど、ないよねえ、多分。
いや、っていうかね、先ほども申しましたように、広場というのは町の中心で、市役所や領主のお屋敷(だった建物)、大きな教会などはみんな広場に面して建っているんだけど、日本だとさ、門があって、お庭があって、建物がある、というのが一般的じゃない?
わかりやすいところでお寺ですが、あれは参道という道を通って、「門」にたどりついて、その中にお庭があって、で、お堂がある、と。
しかしイタリアでは道があって、広場があって、「扉」があって、入るといきなりそこは教会の中。
その違いって大きいわー。
なんかいきなり大発見だな、こりゃ。
イタリアの建物には「塀」とか「門」とかってほとんどない。郊外の貴族の大邸宅とかはまあ、別として、都市部では、普通のおうちも、大きな教会も、大統領官邸でさえ、「扉」は「道」もしくは「広場」に面しているのよ!
そして結構な確率で、お庭は、通り、もしくは広場に面していない、建物の裏側にある。

なんかいろいろ考えたくなってくるねぇ。これは。

単純に、個人の入り口の外を「公」と考え、中を「私」と考えれば、イタリア(含ヨーロッパ、もしくは西欧諸国ぜんぱんかどうかは、皆様のご判断で。)では、「広場」という「公のスペース」を前提とした、「建物」という「私的スペース」がある。日本では、「お庭」という、「私的なスペース」を通ってしか、「建物」という「さらに私的なスペース」にたどり着けない。

ちょっと関係ないこと思い出したんだけど、イタリアでは、たとえば政治家が演説するとしたら、広場に、舞台を設置してやるという感じなのね。道端で叫んでいるのは、大道芸人くらい。
だけど、日本では辻説法のむかしから、道端に立って「歩いていく人」に向かって演説をするでしょ?
あれもすごい文化の違い。
イタリア人は、「相対して話を聞いていない相手」に、話しかけたりはしない。エレベーターガールとかが壁に向かって「次は2回でございまぁす」とやるのって、イタリア人にとっては「なんだなんだ、気でも狂ったか?」というようなことだし、通り過ぎる人々に話をし続ける政治家の皆様のことも、「ほえー・・」って感じだろうなあ。ああもちろんいい・悪いのはなしは、してませんからね。

閑話休題、とにかくイタリア人にとっての広場というのは、「暇だったらとりあえず言ってみる場所」。
対して公園は、どっちかって言うと、デートとか、家族サービスとかで、「行こうと思っていく場所」。
たとえば散歩マニアなわたくしは、思い立ったらとりあえず、広場に行きます。
そしてだいたい、その道すがら、もしくは広場で、誰かと会っちゃったりします。

をを、気づけば今回もぜんぜん辛口じゃないぞ!
イタリア料理に続き、手放しでダイスキなイタリアのもの。それは広場だ!

ということが判明したところで、この中途半端なエッセイは終了。
すまぬ、騎士団長・・


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