日本人と照れ笑い。

変な御題かもしれませんが、これ、ちょっと気になっていたことなので。

あのさ、恥って、誰だってかきたくないよね?
日本国内にいたとしても、恥をかきたくないからあきらめちゃうことってたくさんあるでしょ?
たとえば・・すぐには思い浮かばないけど、道を聞く、とかさ。いや、それは別に恥をかくってほどのものでもないけど、聞くのがめんどくさい、というか、なんというか。
みどりの窓口とかで、駅員さんと会話するのがめんどくさい、という人もいるし。
ああ、電話の留守電とか、うまくしゃべれないのがいやだから、吹き込むのが嫌だったりとか。
総じて、「億劫」と呼ばれる、別にやるのがイヤなんじゃないけど、なんとなくプレッシャーがかかることの数々。
海外旅行では、増して、できるだけ避けて通りたいことでしょう。

そして、生きてれば、恥って絶対かいちゃうよね。
自分のせいじゃなくても、たまたま自動改札が壊れてて、自分のときに思いっきりしまっちゃって、激突しちゃうとか。
もっと簡単に、道で転んじゃうとか。しかも1人でいるときに。妙に人の注目を集めてしまう場所で。

そういうのって、外国だと、さらになんだか怖いことのような気がしませんか?
ただでさえ、西欧諸国では劣等感を抱きがちな日本人としては、とにかく恥をかきたくない一心で、なにもかも後手後手にまわってしまう、というのは、わたくしも19歳の頃はそうだったので、とてもよくわかります。

でもさ、ヨーロッパでその「恥をかきたくない/恥をかいて酷い目にあった」っていう考えは、捨てたほうがいいと思うのよ。

何がいいたいかというとね。
かっこいい日本人観光客であるためにはどうすればいいか、を考えていたわけです。今回の旅行で。

わたしはさー、別に、テーブルマナー知らなくてもいいと思うよ。
そりゃあ、いきなりスパゲティをすするのは、他人に不快感を与えるので、それはテーブルマナー以前の他人への思いやりとして、控えるべきだと思うけど、たとえばイタリアでは、パンはテーブルに直接置く。フランスでは、ちゃんとお皿に乗せる。そんなのどっちでもいいじゃん。
イタリア人はお皿があっても、習慣としてテーブルに直接パンを置いちゃったりするし、だからってそれを恥とは思わない。汚したくないお洋服のときにトマトソースを食べるなら、ナプキンを胸に挟んだっていいと思うのよ。したいことはなんだってしたらいいと思う。他人に迷惑をかけない限り。

知らないんだから、間違えたって当たり前だと思うんですよ。いろんなところで、いろんな意味で。

そして、そんなときに一番大事なのは、「かっこいい照れ笑いができること」ではないかと。

わたくしは、いつもの通り自慢ですが、このかっこいい照れ笑い、というのができるようになってから、人生楽しくなったんです。それはイタリアにいるときに覚えたことなんだけど。
たとえば失敗して、恥をかいてしまったら、笑うの。自分に対して。照れ笑いをして誤魔化すのではなくて、自嘲するのでもなく、けらけらとあっけらかんと、笑い飛ばす。
笑う、って、すごいことだよ。多分すべての文化で共通。笑ったら、たいていのことは、明るく乗り切れる。

わたくし先日、歩いている途中で、サンダルのヒールが折れました。ヒールが、と言うよりサンダルそのものが。真っ二つに。その状態で、そのサンダルをはいて家まで帰ることは不可能だったの。
そういうときこそ笑うのよー。もう、爆笑。いや、げらげら1人で笑ってたら気が狂ったかと思われるから、そこまではしませんが。
でも、コメディみたいじゃない? 歩いてる途中でサンダル真っ二つ。
別に、誰に向かって笑うんじゃなく、自分として、笑う。人がみてるかどうかなんて関係なく、笑い飛ばす。
で、結局わたくしは両足ともサンダルを脱いで、手で持って、裸足で家まで帰ったのですが、自分で自分の状況を思い出すたび、笑ってたもん。おかしくて。

まあ、その例が正しいのかどうかわかりませんが、失敗談て、おかしいでしょ?
人に話したら、絶対笑いが取れる。
だったら、1人でいるときだって、自分で自分がおかしくてわらったらいいじゃん。

言葉が通じなくて、困っちゃったときとか。
本当ならいけないことをしちゃって、怒られたときとか。
いきなり階段から転がり落ちちゃったときとか。(それは笑い事じゃないかも。)
なんだかわからない料理をためしに注文してみたら、まったく食べれそうもないものが出てきたときとか。
道に迷ってるときに、大雨が降ってきたときとか。(それも笑い事・・で、すむな。)

とにかく、海外旅行に起こりがちな「気まずくて、恥ずかしくて、ちょっと惨めなこと」って、後で考えたら全部笑い話。その場で見も世もなく恥ずかしがるより、わらっちゃう。呵呵大笑。

日本人の照れ笑いは、とかく、「相手」を意識したものになりがちです。
そうすると、どうしても媚びたような「弱者の薄笑い」になってしまうのよ。特に外国ではそれでは、かっこいい観光客にはなれないの。
もともと異邦人なんだから、失敗したって当たり前。媚びる必要なんてない。
ただ、そんな失敗をしちゃうお茶目な自分に対して、受けてあげる。面白がってあげる。
弱肉強食の自我のぶつかり合いの世界であるイタリアにおいて「強者」であるためには、なんといっても「王者の余裕」を感じさせなくては。
真の王者は、自分の失敗くらい笑い飛ばすのよ。
裸の王様だって、「王様、騙されてるよ!」って言われて「をを、そーだったのかー! 一本とられた! わはははは!!」だったら、それはもう恥じゃない。
誰かに見られてるから照れ笑いをするんじゃない、王者の余裕の笑い飛ばし。

ま、国内でも通じる技だとは思いますが、ここはそういう「生き方講座」ではないので、海外旅行のためのあどばいすとして申し上げますが、「やばい、恥かいた!」と思ったら、「てへへ」と、笑ってみて。
恥をかかされた相手に対してではなく、自分自身に対して。
それで、絶対に、力関係は入れ替わる。
恥をかいてしまった弱者であるかわいそうな観光客と、それを笑うべき強者である周りの人、と言う強者弱者の構図が、失敗を笑い飛ばす余裕を持った1人の人間と、それを偶然見てしまった人間達、という、対等の人間関係になれる。

当然、笑って済まされない事態もあるでしょう。
犯罪関係とか、健康にかかわる問題は、笑ってる場合じゃないし、さっきも言ったけど、人に不快感や嫌悪感を与える行動を控えるくらいの良識は持っておくことにして。
あとは旅の恥はかき捨て、ってことで、自信を持って、びびらずに、ゆったりと行動してみる。
失敗したら、笑い飛ばす。
ずうずうしくなるのではなく、無神経になるのでもなく、そうねえ・・どちらかと言えば無邪気に、人の目なんて考えずに、気持ちよくしたいことをする。

そしたら、結構かっこいい観光客になれると思うんですが。誰か試してみて、報告してよー!


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