タイ旅行記2・バンコク転戦記

朝6時45分。無情に鳴り響くモーニングコール。
ああ眠い。
昨日寝たの何時よー!!

とはいえ、タイと日本との時差は2時間。朝6時45分は、東京の朝8時45分。
睡眠時間4時間にもかかわらず、わりと清清しい朝を迎えて、わたくしたちはバンコク一日目の日程、市内観光半日ツアーに出発いたしました。

ツアーのメンバーはわたくし達二人と、昨日の飛行機でものりあわせた関西のお姉さま方4人組。総勢6人のグループに、日本語をしゃべるガイドさんと、運転手さんがつくという豪勢さです。
恐るべし、タイ。

ミニバスみたいな小汚い車が、またぬるくていい感じ。
左の写真、妹に見せたら「な、なに、盗賊団に誘拐されかけた時の写真?」と言われましたが、紛れもなくツアー用のミニバスです。

意外と涼しいバンコクの朝、最初に降りたのはチャオプラヤー川のほとり。
いきなり、エンジン付きの細長い舟に乗り込まされると、目線の位置ががくんと変わります。
船着場から船への段差が結構厳しく、なれない女六人は舟をゆっさゆっさとゆらしながら、えっちらおっちら乗り込みます。

バンコクは東洋の水の都、とも呼ばれ、チャオプラヤー川とともに生きることで有名ですが、いきなり水上観光とは。優雅だわねえ。
はしゃぐわたくし達ですが、実は、二日目の予定はわざわざ別のエージェントで予約した、水上マーケットツアー。
ここで水上に出てしまうということは、もしかして、今日明日続けて水上マーケットに行く羽目になるっていう事?? そういえば、さっきガイドさんは「水上マーケット見学」っていってたよなあ・・と、にわかに不安になるわたくし。
3日しかない観光の日程で、ダブって観光しちゃうのは痛恨の一撃です。
でも車で1時間半かかるといわれてた水上マーケットに、こんな半日観光でいきなりいけるわけ・・ないよね?

不安な気持ちを押し隠し、とりあえず第一の観光スポットはワット・アルン。
暁の寺、と呼ばれるお寺は、有無を言わせず圧倒的です。
残念ながら、天辺まで上る階段は封鎖されていたので、高いところの制覇は叶いませんでしたが、いろいろ写真を撮って、すっかりご満悦のわたくし達二人。
三島由紀夫がインスパイアされたというこちらのお寺は、しかし、まだまだタイの全容を現すものではありませんでした。

というのはさ・・ここから「水上マーケット」に向かう途中で、わたくしたちはなんだか凄いものを目にしてしまうわけです。
それは、こちら(川のほう)に背中を向けてお座りになる巨大な黄金の仏像。
男は背中で語る、といいますが、これはいくらなんでも語りすぎなのではあるまいか。
それは何かをはるかに通り越した、超現実の世界。
常人のセンスではとても追いつかない、何かを雄弁に物語る背中。
思えば、わたくしたちのタイへの印象は、このあたりから、真相に近づいていったともいえます。
あまりのことに唖然としつつ、口をあけてお仏像の背中を見守るわたくし達。ガイドさんに質問しても、「あれは仏様の像です」という、いたってクールな回等。
・・もしかしてタイというのはとてつもない国なのではないか?
不意打ちにも似た攻撃にうろたえるわたくしたちには、しかし、勝負の第一ラウンドが刻一刻と近づいていたのでありました。

舟が着いた先は、「水上マーケット」。
確かに。船着場から桟橋でつながった水上に、おみやげ物やさんが一軒。「ここでしばらく休憩しましょう!」という言葉とともに姿を消すガイドさん。
残されたわたくしたちに、店員さんからの波状攻撃が始まります。
「おこう、きゃんどる」
「しるばー、しるばー」
「やすい、やすい」
「うちわ。」
「べんじゃろんやきね」
などなど、手持ち無沙汰に店内を歩き回る私たちに、見れば一目瞭然の品物をいちいち日本語で解説してくれながら、ぴったりマークする女性たち。目を合わせたら殺られる! という状況の中、厳しい勝負に追い込まれます。
確かに、お土産にするにはよさそうな品物が並んでいるのですが・・いくらなんでもこんな胡散臭いみせで買い物、するかぁ?
ましてわたくしたちは辛口強気シスターズとして社内に勇名を轟かせる二人(冗談です)。
薦められるほどに更に頑なに、一円も使わずに粘ること30分。
やっとにこやかに帰ってきてくれたガイドさんにすかさず近づき、日本語で世間話をしながら時間を潰すわたくし達。
恐らく、ツアーの契約として、何分以上このお店にいる、という条件があるのでしょう。安いツアーだから、それも浮世の義理というヤツです。

「水上マーケットって・・これのことじゃないよね。絶対違うよね」
頷きあうわたくしたちはともかく、ご一緒したお姉さま方は、いまでもあれが水上マーケットだったと信じていらっしゃるかもしれません。もしこれを見ていらしたときのために、声を大にしていっておきます。
本物は、あれじゃないよー。

さてさて、お次の目的地はワット・プラケオ。王宮というやつです。
タイでは王室の権威が日常的にかなり生きていて、なんだか羨ましいほどです。
しかし、全ての種類のお札に同じ、王様のお顔が印刷されているのはちょっとこまったわ・・どれ見てもオンナジ顔だから、わかりにくくて・・
と、まあそれはともかく、そういうタイ王国なので、王宮への出入りには露出厳禁。わたくしはキャミソールに大判ストールで万全! だったはずなのですが・・
「その布をとってください」
といって女性係員さんにチェックされ、ななななんとNG。
ストール巻いててもだめ、というのは、カトリックの総本山・サン・ピエトロ大寺院より厳しいわ!!!
あやうく一人置いてきぼりをくらうところでしたが、お姉さまのうちお一人から予備のカーディガンを借りて危うく事なきを得ました。
その節は、ありがとうございました!!!

それにしてもこの王宮、エメラルド寺院と呼ばれる寺院を併設しているのですが・・
子とここにいたって、わたくし達にははっきりとわかりました。
この国の感覚は、岡本太郎と似ている。と。
芸術は爆発です。とにかくきんぴか、極彩色。
派手なことは美しいことと同義、とばかりに、聳え立つ建物の派手なこと派手なこと。
とても日本では考えられません。禅寺なんてもう、対極ちゅうの対極。落ち着き、とかしっとり、とか侘び寂び、とかとは正反対のベクトルにある、猛烈な自己主張。

いやはや。文化というのはここまで違うものか、と、それが寺院であるだけに、感慨深いものでございました。
わたくしは日本でもお寺めぐりが趣味、イタリアでも教会めぐりが趣味、というとにかく宗教的建築物マニアだったりするのですが、神様なり仏様なりに祈りを捧げる場である寺院がこれだけ違うベクトルだと、かなり考えさせられますわね。
これはまた後ほど、辛口ラブ本編にてゆっくりと語らせていただこうと思っております。

さて、ツアーはタイ料理バイキングの昼食をはさんで、午後の部へと移行します。
ある意味、ここからがこの日のわたくしたちのクライマックスでした。
第二・三の戦いの火蓋は切って落とされました!

というのは、午後の予定は二軒のショッピングのみ。
ショッピングが何を意味するかは、先ほどの「水上マーケット」でmocoちゃんもわたくしも体験済みです。
そして対戦の舞台は「宝飾店」と「革製品店」。そんなところで私たちに一体何を買えというのでしょうか。
わたくしたちは既に闘志満々。ファイティングポーズも鮮やかに、いざ宝飾店へ!!

体育館ほどはあろうかという広大な敷地に、味も素っ気もなく並ぶ宝石たち。
ほとんど一瞥すら投げずに、ずんずんすすむわたくし達二人。
当然のごとくガイドさんは姿を消し、わたくしたちは広大なお店の右の端、どん詰まりのみやげ物コーナーで足止めです。
またしてもマン・ツー・マンでマークにつく店員さんたち。
しかし、わたくしたちはモハメド・アリも真っ青の軽やかなステップで、マークを次々にそらして行きます。自分たちのことながら、見事な足捌きだったわよね、mocoちゃん。

しばらくすると、敵はもっと簡単な獲物をめがけて、わたくしたちのそばを去っていきました。
別の言い方をすれば、しばらく放置。
その後、なにやら偉そうな男性に命令された猛者が一人、近寄ってきます。
「オニカイも、ございます」
をを。新たな挑戦への道か。

二階にあがると、そこは免税品フロア。ブランド物とお菓子と化粧品が並ぶ中、お客さんはゼロ。店員さんは・・10人くらい?
広いフロアを回る間、わたくしたちの周りには、つかづ離れずの距離で、10人の包囲網が出来上がっていました。わたくしたちの移動にあわせて、あちらも移動する包囲網。わたくしたちの歩み併せて点灯する電気。

しかしまあ、もはやわたくしたちの向かうところに敵はありません。
途中、男性店員がmocoちゃんに惚れるというほほえましいエピソードも挟みつつ、わたくしたちはこちらの宝石店に完全勝利をおさめ(ほしかったかんざしは格安で購入)、次ラウンドの革製品店も、相手の「接客中にみかんを食べる攻撃」という新たな裏技にふいを付かれはしましたが、無事所持金を減らすことなく、三戦三勝で武者修行の旅を終えたのでした。

ふう、いい汗かいたわね、mocoちゃん♪


そして、ホテルに送り届けてもらったわたくし達には、その日の裏メインイベント、エステが待っていました。
武者修行が長引いたせいで、エステの予約にはぎりぎり。
疲れた身体に鞭打って、オシャレなお洋服に着替えなおして、向かった先は超高級個室エステサロン。
今回の旅行で最も贅沢な試み、3時間コース。
日本でだってエステなんて行ったことないわたくしは、アロマの香に満たされて、すっかり夢心地。
でも貧乏性なわたくしは、寝たらもったいない!とばかり、必死で起きていたので・・ちょっと、疲れたかも。ほほほ。


エステのあとに夜の露店でお洋服を物色し、さらにお土産をスーパーで買ったりして時間を使ってしまったわたくし達は、またしてもレストランでの夕ご飯を食べ逃すことになるのです。
・・本日の夕食、屋台の串焼き。一本15円×3とシンハービール。



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