史上最大の作戦!帝国よ、永遠に!
No.6

成妃帝「おい、スパイ大作! ナカニシズム総統を倒したのに、何も起きないではないか!」
『伯爵令嬢』は先ほどより、さらに一回り大きくなったようにさえ見える。口元にはちろちろと火がはしり、今にもファイアブレスでも吐き出しそうだ。
グラビー「手遅れなのか、いや、まだ、まだ何か方法があるはずだ…」
わるν「シャーロックホームズはどうやって奴を倒したんだ?」
グラビー「うむ、伝説では蹴り倒したことになっている。何でも、それで悪の組織を一つ壊滅に追い込んだらしいのだ」
わるν「何だよ、ホームズってライダーキックの使い手か? それはともかく! この状況をどうするんだ!?」
成妃帝は、クリムゾンの弾丸を『伯爵令嬢』に何度も撃ちこんだが、奴はひるむだけでダメージは無い。
成妃帝「クリムゾンが通用しないだと! おい、わるν、槍を持て!」
わるν「陛下、無茶言わんでください。グラビー、倒せないのなら、せめて封印できないのか?」
グラビー「そのためにはソフトが必要だ」
わるν「ソフト?」
グラビー「そう。奴は強力だ、力で押さえるのは難しい。そこで奴を誘い込み封印するソフトを使うのだ。だがしかし…」
わるν「何だよ、歯切れ悪い言い方だな」
グラビー「奴はクソゲーの魔力が集結した生命体と言われている。だから、奴が欲するのもクソゲー。クソゲーのソフトを使って封印するんだが、一度奴に接触したクソゲーでは効果がないのだ。おそらく奴はニ度と封印されないよう、総統をあやつってクソゲーを集めさせたのだ。このままでは、誰も『伯爵令嬢』を止めることができなくなる! 世の中のゲームは総て『伯爵令嬢』の意のままのクソゲーにされてしまうんだ!」
わるν「じゃあ、一体何のソフトなら大丈夫なんだよ!」

総統「…うーん」
その時、成妃にクリムゾンで撃ちぬかれたはずのナカニシズム総統が起きあがった。
総統「うーむ、よく寝た。…な、なんだこれは!?」
成妃帝「な、総統、貴様なんで生きてる!?」
グラビー「どうやら元に戻ったようだな。ナカニシズム総統。クリムゾンの力で『伯爵令嬢』の支配から切り離したんだ」
総統「お前はグラビーか! そう言えば、私は一体…? なんで『伯爵令嬢』が動いているんだ? 誰が動かしたんだ? わるν、お前か?」
わるν「ちっがーう! 動かしたのはお前だ、お前! 早く止めろよ!!」
総統「無茶言うな。だから封印してあったんだろうが。誰が封印を解いたんだ? わるν、お前か?」
わるν「…お前、最低。…ぐはあっ!」
落ち込むわるνに、成妃帝の鉄拳制裁がくだる。
成妃帝「バカモノ、何をぼーっとしている! か弱い乙女に一人戦わせておいて、お前らは何をくっちゃべってるのだ!」
総統「無駄だ、成妃帝。戦って倒せる相手じゃない」
成妃帝「ムッカーッ! 誰のせいでこんなことになったと思っているのだ!」
グラビー「落ち着け、成妃帝。今は仲間割れしている場合じゃないぞ!」
成妃帝「いつ仲間になったのだ、俺は知らんぞ」
グラビー「とにかく! 今だけでも力を合わせないと、我々は、いや、世界が危ないんだ! 総統、奴がなんのソフトに封印されていたか覚えているか?」
総統「MDのソードオブソダンだ。恐ろしい程のオーラを発していたので、研究用にアキバから持ちかえったのだ。最近研究所が電力不足でな。うまくすれば使えるんじゃないのかと思ってな」
成妃帝「研究用に持ちかえって操られているんじゃ、どうしようもないだろ。で、どうするスパイ大作。上の養殖所にあるクソゲーが使えない以上、ここにいてもしょうがないんじゃ?」
わるν「危ない、陛下!」
成妃めがけて振り下ろされた『伯爵令嬢』のこぶしを、わるνの大鎌が弾き返した。
わるν「ぐっ、なんて力だ」
グラビー「まだ奴は完全体ではないから、まだ倒すチャンスがあるかと思ったのだが。やはりここは引くしかないか」
わるν「オレは最初からそう言ってるじゃないかぁっ! (T^T)」
『伯爵令嬢』はおもいっきり息を吸い込むと、次の瞬間にファイアブレスを吐き散らした。一同はなんとか避けることに成功したが、その炎の息は背後の扉を溶かしてしまった。
成妃帝「扉が!? なんか溶接されたみたいになってるぞ! おい、総統、他に出口はないのか」
総統「ある。が、出られん」
成妃帝「何でだ」
総統「一方通行だからだ。もともとこの部屋は、万が一『伯爵令嬢』が暴れ出してもいいように作った封印の間なんだ。扉はいくつかあるが、あの扉以外は内から開けられないという仕組みになっている。あの扉にしたって、出るには私の網膜パターンが必要だったんだ。苦労してつくったのになあ」
わるν「つまり、外から誰かこない限り、オレ達は…」
総統「『伯爵令嬢』のエサだな。ここには研究員も近づかないように言ってあるし。困ったな、どうするわるν? 私と心中するか?」
わるν「冗談は爆弾だけにしろ。おい、グラビー。何か手は残ってないのか」
グラビー「もしかしたら使えるんじゃないかと、MDの「ソードオブソダン」は持ってきていたんだが…。先ほどから通信もつながらない」
成妃帝「ここは地下深いから、電波も通らなさそうだしな」
グラビー「いや、テレホタイムだからつながらないんじゃよー」
成妃帝「なんだとぉ。(--#」
わるν「陛下、落ち着いてください」
成妃帝「お前は総統と心中でもしてこい! いくらなんでも、テレホタイムが終わるまでこいつ相手に持ちきれるとは思えんぞ」
わるν「(;_;)」
『伯爵令嬢』はそれがわかっているのか、ねちねちと成妃達を弄んでいるようだ。

それから1時間以上も膠着状態は続いた。戦闘要員のわるνと成妃はもうぼろぼろになっていた。グラビーと総統は、地上に連絡を取るために通信装置の改良と、イチかバチかで「ソードオブソダン」に『伯爵令嬢』を封じる準備をしている。
成妃帝「はあはあ…、タフだな。奴は」
わるν「…陛下、もう下がってください。後はオレが…」
成妃帝「バカ。お前一人に任せられないから、この俺自ら戦ってやっているんだ。いいか、俺より先に逝くなよ。一人で奴と戦うのはごめんだからな。」
わるν「陛下…」

総統「あの二人はそういう仲なのか?」
グラビー「さあな。ところで総統、通信のほうはどうだ?」
総統「思っていたよりうまくいかない。言っとくけどな、いい気になって研究所を破壊しまくってくれたお前達が悪いんだぞ」
グラビー「わかったわかった。…あれは? なんの音だ」
総統「音だと?」
背後の壁から複数の足跡が聞こえてきたかと思うと、隠し扉がスーッと開いた。
総統「な、お前らは! どうしてここに!?」
???「ここはどこだ。北海道ではないのか」

それは、北海道に帰ったはずの紫たかだ金メッシュと宰相りーだった。
宰相りー「たかださん、あの、帰るどころか元に戻ってきてしまっているんですけど」
紫たかだ「そうか。気がつかなかった」
成妃帝「助けに来たんじゃなくて、帰ろうとして来てしまったっていうのか。(--;」
紫たかだ「どうも以前改造された時に、方向感覚が狂ったみたいでな。どうも一度外に出てしまうとなかなか元に戻れない。ところであのデカブツはなんだ。総統とは仲直りしたのか」
わるν「とにかく、その隠し扉から今なら逃げられ…ぐあっ! 撤収できるんじゃないか」
紫たかだ「相変わらずよく殴られる奴だな。そうだ、総統に土産を買ってあるのだ」
総統「土産だ?」
紫たかだ「以前、よく知らんとかいっていたからな。クソゲー養殖所にもなかったみたいだし。これで勉強しろ。お代は\3,000にまけてやる」
総統「それって土産って言わないぞ」
総統は紫たかだからもらった包みを開けてみた。
総統「なんだこれは? ファミコンカセット? なんで発光ダイオードが付いているんだ?」
グラビー「なんだって、見せてくれ! 間違い無い、これは「スペランカー」! あふれ出るこのクソゲーパワー! これなら奴を封印できるかもしれない!」
総統「私の土産…」
グラビーは「スペランカー」のカセットを『伯爵令嬢』に投げつけた。
グラビー「邪気よ! 散れ、じゃなくて、集え!」
『伯爵令嬢』は何か懐かしいものを見つけたかのように、カセットを拾い上げた。醜悪な怪物ではあるが、その一連の動作は『伯爵令嬢』の名にふさわしいものだった。『伯爵令嬢』はにこりと微笑むと溶けるように姿を消した。後に残された「スペランカー」のカセットが一瞬だけ赤く光った。
わるν「封印、できたのか?」
グラビー「うむ。やはりファミコン時代の伝説のクソゲーのパワーは桁違いだ」

ゴゴゴゴゴゴ…。
紫たかだ「今度は何だ」
グラビー「『伯爵令嬢』が封印されたから、この秘密基地が崩れるんだ!」
総統「なんで奴がやられると、私の基地が崩壊するのだ!?」
宰相りー「陛下、早く!」
成妃帝「皆の者、撤収だ!」
崩れ落ちる総統の秘密基地を、間一髪で脱出した一同。なんとか明治神宮付近の代々木公園の外れに出ることができた。下水道にカモフラージュされていた秘密基地の入り口は完全につぶれている。

成妃帝「残念だったな、総統。ご自慢の秘密基地がお陀仏になって」
総統「お心使いはうれしいが、こんなこともあろうかと他にも基地や研究所は用意してある」
成妃帝「ふふん、まだ俺の帝国に楯突く気か。いつでもお相手するぞ」
宰相りー「陛下、お忙しいところ悪いけど、グラビーさんの姿が見えないんですけど」
わるν「確かに。脱出した時までは一緒にいたはずなんだが。…まさか。総統、さっきのカセットはどうした!?」
総統「ん、グラビーから受け取った…。ああ、いつの間にか「ソードオブソダン」に!」
わるν「野郎、最初からそれが目的だったのか! しかしあれを一体何に使うんだ」
紫たかだ「さあね。奴はどうやら「デスクリンク連合」の手先のようだったから、ドリキャスでデスクリ2を作るか何かにつかうんだろ」
総統「まったく恐ろしいことを考えるな!」
紫たかだ「総統、\3,000」
総統「…」

総統はいずこかに姿を消し、紫たかだも去っていった。しかし紫たかだが無事に帰れる保証はどこにもない。後には、成妃帝と帝国民が残った。
成妃帝「さーて、俺達も帰るぞ。もしかしたら次は「デスクリンク連合」と戦う事になるかもしれないからな」
宰相りー「やっと帰れるんですね。なんだか疲れました。ところで謎が一つのこっているんですけど」
成妃帝「何が?」
宰相りー「手紙ですよ。たかださんが持っていた「あなたにあ・い・た・い」ってやつです。誰が書いたんでしょう」
わるν「ああそれ。オレです」
宰相りー「!!??」
わるν「正確にはオレっていうか、永倉えみにゅうに書かせました。たかだをおびき寄せて殺っちゃおうと思って。でもにゅうの奴、場所書かなかったから、結局使い物になんなくって…」
成妃帝「今回だけは黙っててやるから、今後は馬車馬のように働けよ」
わるν「…はい」

おしまい
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