牛犬日記(習性編)

○月×日

「体力測定」をしようと思い,できるかぎりの(私が,である)速歩で,
5,6キロを,休み無しで駆け抜けた.しかし,ジョニは,舌を出しもしない
(腹の底で,赤い舌を出したかもしれない).
舌を出したのは,人だった.こちらの体力測定になってしまった.
やはり,何かを投げて,全力疾走させる運動でないと,
満足していただけないかもしれない.


○月×日

隣の家の前を通ると,ジョニは,いつも,ばたばた暴れる.
そこの犬が,おびえてワンワン騒いで,庭を走り回るためである.
ジョニもおびえているのだとしたら,叱っても意味がないので,できるかぎり落ち
着いていただこうと,試しに,だっこして通ってみたら,かなり落ち着いていた.
明日は,おんぶして通ってみよう.


○月×日

ジョニは,いつも,ウンコをしながら,腰を落とした姿勢で,ずりずりと移動する.
うちでは,「モバイルウンコ」と呼んでいる.最初は,ウンコが硬くて痛いのか,
とも思ったが,ジョニのウンコは,ふつうは,弾力のある,良いウンコである.
ところが,あるボーダーコリーのWWWサイトを見ていてわかったのだが,どうも,
非常に多くのボーダーコリーが,これをするらしい(そのサイトを開設している人
は,「ウンコで千島列島をこさえる」と表現していた).何のためだろう?


○月×日

屋内に,立て続けに二度,盛大なマーキングをされてしまった.
ちょっときつめに叱って,セオリーどおりの処置をした.
マーキングされたところを洗剤で拭いて,消臭剤をかけ,酢を希釈した液を塗り,
お気に入りのもの(ジョニのばあいは,コング)を置いておいた.
今のところ,三度目の発生はない.でも,ちょっと高価な純米酢を使ったのは,も
ったいなかった.他には,ワインビネガーしかなかったので,しょうがないが.
ジョニは,きつく叱ると,本犬(ほんにん)が反省しているときは,
玄関の隅にひっこんで,傍に行っても,こちらには寄ってこない.
反省していないときは,聞こえない振りをして,空を眺めているようである.


○月×日

ボーダーコリーは,脚を,あまり高く揚げず,体も,あまり上下動させないで歩く.
ハスキーと対照的.しかも,前方に警戒すべきものがあると,この特徴が,もっと
極端になる.身をかがめて,体高を半分ぐらいに落とし,すり足で,移動する.
よく言えば,能楽師のすり足のようであるし,
悪く言えば,「怪しい奴め!伊賀者か?」である.


○月×日

毎朝5時を過ぎる頃,玄関で,「クウンクン,ピスピス」と鼻を鳴らす音がする.
続いて,玄関の式台にとびのっては,おりる音がする.さらに,寝室(不幸なこと
に玄関脇にある)のドアに,重いものが,体当たりする音がする.
犬の憲法の第一条には,「自由に散歩の催促をする権利」が
明記されているのだと思う.


○月×日

昔見た映画に,こんなシーンがあった.誰もいない廊下で,物が転がる音がする.
出てみると,足元に,手榴弾が!...というもの.今日は,それを思い出した.
誰もいないはずの,うちの廊下で,ゴロゴロゴロと,物が転がる音がする.
出てみると,足元にコングが転がってきた.顔をあげると,4m先の玄関で,
ジョニが「はよ遊べ」という顔で,おすわりをして,こちらを神妙に見ている.
しかし,一度,上に上がってから(これは許していない),コングを抛り,急いで,
玄関に下りたのは,見え見えである.戸を開けたとき,牛模様のお尻が見えた.


(牛パパさんより)