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 尺八の音を出すにはどのようにするか。

  第1 尺八の構え方

 正座や椅子に座る、あるいは立ったままで吹くという三種類の形態が一般的ですが、どれも共通するのは、楽器の構え方です。尺八の演奏時間は短いもので10分位かかりますし、長いものとなれば約30分はかかってしまいます。尺八の構えはこの演奏時間を耐えられるものでなくてはなりません。自然な姿勢が必要となります。体の一部分に力が入った状態の無理な姿勢では決してありません。では、自然な姿とは何かということになりますが、正座をしたとき腕は重力の関係で垂直に下がっているはずです。そのままの状態で肘を曲げ前方に腕を出し尺八を持つことになります。肘と体の間は意図的に間隔を広げたり狭めたりしてはいけません。この状態により右手で尺八の下管を、左手で上管を持つこととなります。

 

  2 指の構え

 次に、指の構えになりますが、第1孔(下から1,2,3,4孔と数え裏孔は5孔という)と第2孔の間に右手中指をおき裏側を親指で支えます。このとき、中指の真下に親指があり、中指と親指は平行でなければなりません。

1孔は右手薬指の腹でふさぎ、第2孔は右手ひとさし指でふさぎます。このとき、人差し指の爪のついた骨から数えて3番目の指骨の部分を尺八につけます。薬指はほぼまっすぐとなり、ひとさし指は指骨の関節で全て屈曲した状態となります。したがって、尺八に対して指はすべて斜め下方に平行に向かっていることになります。

 左手、中指は第3孔と第4孔の間におき、親指は第5孔をふさぎます。薬指と人差し指は右手と同様な形で、薬指が第3孔をふさぎ、人差し指は指骨の関節で全て屈曲させ、第4孔をふさぎます。このとき、右手と同様に、人差し指の爪のついた骨から数えて3番目の骨の部分を尺八につけます。

 孔をふさいでいる指は常に開閉可能なように力まずにふさぎます。尺八の支えの基本となるのは右手中指と親指、左手中指と次に説明します顎の部分です。そして、前述アンダーラインをした人差し指の爪のついた骨から数えて3番目の骨の部分が、補完的な支えをします。中指に加わる力が大きいと、薬指と人差し指の動きが鈍くなります。支点が多い方が各支点に加わる力が分散し少なくなるので、薬指と中指の動きがスムーズとなります。

  3 顎と唇

 尺八の構えの最後は顎のどの部分で尺八を支えるかということになります。通常は、舌を下唇と歯の間に入れた下あごの部分となります。このとき、尺八は体が垂直だと仮定すると30度から40度程度の角度の構えとなります。

唇の位置は歌口(尺八の上管で斜めにカットされた部分)の中の部分に下唇が位置し、上唇は歌口の上の部分に位置します。唇の形は「パピプペポ」を発音する形ですが、唇を大きく開くことなく発音したときの形となります。したがって、下唇だけが突出したり、上唇だけが突出したりはしません。

  4 呼吸について 

 呼吸は肺呼吸、複式呼吸いずれでも音はでます。初心者の方は意識する必要はありません。「パピプペポ」のいずれかひとつの発音をします。このとき、母音を伸ばします。ぱ=PAとあらわせば、Pが子音でAが母音となります。

 尺八を構えて「PAAAAAAAAA」と息をいれます。日常会話で話す息づかいで力をいれずに息を長く一定の速さで入れます。音は出たでしょうか。10人中9人はこの方法でとりあえず音がでます。音が出なかった方はもう一度第1からやり直してみてください。 

  どうしても音が出ない

  第1 指孔はOK?

 全部ふさいだつもりでもどこかにすきまができるものです。

すき間が開いていると音が出にくくなったり、不安定な音が出たり、さらには音が出ない原因となることがあります。もう一度確認してみてください。

 

  第2 尺八のねじれ?

  尺八の第1孔から第4孔は真上を向いていますか。右や左の一方に向いていませんか。どちらかの手に力が入りすぎているとこの状態となります。孔が完全にふさがっていてもどちらかに孔が向いていると、尺八の歌口と唇が平行になっていないため息を入れても音がでません。

 以下の説明で尺八の音を出すために演奏者が唇に変化を与え意図的に出す息のことをビームと呼ぶことにします。

 歌口に対してある一定のビームが放出され、疎密波を尺八管内に共鳴させ、増幅させなければ音とはなりません。

  3 歯が抜けていませんか。

  ここまで、全てチェックしたが間違いなくビームを出している。しかし、音が出ないという場合、口腔内に原因があることがあります。正常な歯並びであれば、唇の調整だけで、音は出ますが、歯並びが悪いとか、歯の治療中で歯が抜けている場合、ビームに乱れが生じますので音が出ない場合があります。

 歯並びが悪いとは親知らずがあることを言うのではなく、特定の歯だけが斜めに生えていたり、本来抜けているはずの乳歯が残っていたりすることです。昔、親知らずが4本あったがどれか1歯だけ抜いてそのままになっているといった場合は歯並びが悪いと言う事になります。

 総入れ歯はどうかというと問題がありません。しかし、差し歯の場合ブリッジによる影響が考えられます。

 一度歯科医師で診察してもらう事をお勧めします。

 

  楽器の話

  第1 楽器その1

楽器は先ず何を持ったらよいかということになります。はじめから竹製の管を求められるのも良いと思います。しかし、高価なものです。とりあえず、練習をするだけなら、木管をお勧めします。調律もほどこされ万人向けです。竹製の管を求めるのであれば、自分の先生を通して購入されるのがベストです。その理由は、その流派による楽器の違いもありますし、製管師によって尺八の音色がまったく異なります。尺八の上達は、先生と同じ製管師が作ったものか、先生の選んだ楽器がベストだと思います。

  第2 楽器その2

  楽器その1はお金を出せば手に入れる事ができる楽器でした。楽器その2はお金を出しても手に入れることができない楽器のお話です。

 結論から申しあげますと、楽器その2とはあなた自身のことです。風邪をひけば風邪をひいたような音を出すし。怒っているときは怒っている音を出す。楽しいときは楽しい音を出す.練習不足で自信のないときは自信のない音をだす。まさに、楽器の本体は楽器その2であるあなた自身であって、楽器その1とした楽器は単なる道具でしかないのです。

 「人間を磨かないといけません」とは琴古流尺八竹盟社初代宗家山口四郎先生の教えですがまったくそのとおりだと思います。その教えを守ったのが竹盟社二代宗家山口五郎師でした。

 尺八を通して人間を磨くための最低条件。物事に対して素直な気持ちで接すること。そして普段の生活において、自分自身でできることは躊躇せずに実行することだと思います。