愛想のいい客
 
なんか店へ行くと気を使ってしまう。こっちはお客で堂々としてればいいのだが、イイ客であろうと振る舞ってしまう。おろかな意識のあらわれで、自分自身はずかしいのだが、やめれない。わかっててやめられないところが、おろかさの根深さを示している。
 
コンビニは、まだいい。しゃべらなくて良いから。不機嫌な顔をしないように、少し微笑むぐらいですむ。店員が不気味そうな顔をすることもあるが、乾いた都会でそれぐらいの交流があっても良いでしょう。
 
問題はファーストフード店。ここはマニュアルという台本があって、それに従い店員と客がセリフをやりとりしないといけない。俳優でもないのになんでこんなコトになってしまったんだか。まあ、仕方ない。

 
店に入る前に注文は決めておきます。
レジの前で注文を考えるなんてもってのほか。
注文待ちで並ぶことになっても店員をにらんではいけません。いらぬ気を使わせては可哀想だ。
 
順番が来たら店員に正対し、向こうのセリフを最後まで聞きましょう。
「いらっしゃいませ。今日はこちらでお召し上がりですか。ご注文をどうぞ。」

この時ぶっきらぼうに商品名だけを告げるようなことは慎みたい。
あくまでもフレンドリーに。にこやかに語りかけましょう。
「あー、そうだねえ。ハンバーガーセットをお願いしようかな。持ち帰りで。」
店員が不思議そうな表情を見せても指摘してはいけない。突然の友好的な客の来訪にとまどっているだけ。ひるんではならない。やさしく無視しよう。
 
「ハンバーガーは2、3分お待ちいただかないとイケナイのですが、よろしいですか?」
じゃ、別のに変えてくれ、そんなことは言ってはいけません。
もの解りよく了解し、手間をとらせないように。
 
「番号札をもって、あちらでおまちください。」
これがキツイ。広い店ならイイが、狭くて込んでると待つ場所がない。タチ位置、視線、表情など即興的要素が多く頭が痛い。待ってる間は店員をにらんでプレッシャーをかけることだけは避けよう。どこか遠くを見つめておきましょう。
 
しばらくして、店員がハッとして伝票を確認しているのを目撃しても、気にしない。注文が通ってなかったなんてことはない。ただ確認しただけ、のハズだ。
 
「6番でお待ちのお客様、お待たせしました。」
品物を受け取るとき「ありがとう」といって感謝の意を表し、店を出る。
店員も思っているだろう、なんてすがすがしい客なんだと・・・・。
  

愛想のいい客も疲れるわい。
それでもファーストフードへ行くオレって・・・。
 
 
*もちろんこの話はフィクションです。
 

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