「資本論」と弁証法


1867年、今から約150年前、日本では翌年が明治元年という頃、カール・マルクスは、ロンドンから「資本論」を出版した。
彼は、資本主義体制の経済を研究した。彼は、その研究から、経済学の法則を掬い取り、それを事実と突合せて論証した。更に、それらの法則を体系化し、論理的に再構成し、経済学を一つの科学として確立した。
その書が、この「資本論」である。
マルクスは、革命家であり、指導者であった。しかし、「資本論」は、革命の書でもなければ、闘争の書でもない。これは、科学の書である。彼はこれを科学者の立場で書いている。

「資本論」は、資本主義の仕組みを深刻に解明している。だから、この本に書かれていることは、資本主義体制の現代社会に生きる私たち、すべての働く人たちの生き方にとって、大いに参考になる。
だが、この本は、難解である。言葉の意味が理解しがたい上に、論理が難しい。むしろ、この言葉の難しさは、論理の難しさに裏打ちされている。

「資本論」は、第1巻「資本の生産過程」、第2巻「資本の流通過程」、第3巻「資本主義的生産の総過程」という構成になっているが、内実には、本質論、実体論、現象論という構造を含み、「弁証法」と呼ばれる独特な論理構成によって、全部が貫かれている。

この書は、経済学以外の科学を志すすべての学徒にも、大いに参考になると思う。ヘーゲルと異なって、唯物論的な立場から取り上げられ仕上げられた弁証法的方法は、他の科学を体系化する場合にも、大いに参考になるであろう。一人の天才が、体系的な科学とはどういうものかを、目の前に示してくれているからである。社会科学を含めて、科学は人類の幸福のためにあるならば、マルクスやエンゲルスの科学への貢献は、私たちへの、巨大な贈り物である。

私は、私の資本論の読み方を、できるだけ逐一、解説することを試みる。資本論を読み解くことは、彼の全著作を読み解くことに繋がる。だから、彼の全著作を参考にしながら、資本論の論理的骨格を、読み解いていこうと思う。私の試みが、資本論と取り組まんとする人々の参考になれば幸いである。

2009.4.25. Y.EGUCHI

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● 「資本論」学習会;難点解説 (1)

第1部第1篇第1章第1節、第2節、第3節、第4節

● 「資本論」学習会;難点解説 (2)

第1部第1篇第2章、第3章第1節、第2節、第3節

● 「資本論」学習会;難点解説 (3)

第1部第2篇第4章第1節、第2節、第3節、第5章第1節、第2節

● 「資本論」ノート (1)

資本論序文、第1部第1篇第1章第1節〜第4節

● 「資本論」ノート (2)

第1部第1篇第2章、第3章、第2編第4章

● 「資本論」ノート (3)

第1部第3篇第5章、第6章、第7章、第8章、第9章

● 「資本論」ノート (4)

第1部第4篇第10章、第11章、第12章、第13章

● 「資本論」ノート (5)

第1部第5篇第14章、第15章、第16章、第6篇第17章、第18章、第19章、第20章、第7篇第21章、第22章、第23章、第24章、第25章

● 「資本論」ノート (6)

第2部第1篇第1章、第2章、第3章、第4章

● 滝村隆一著「国家論大綱第1巻上下」から学ぶべきもの

序論、総説第1篇、第2篇、第3篇、第4篇、第5篇、本論第1篇、第2篇、第3篇

● 「経済学批判」ノート

第1章 商品、第2章 貨幣または単純流通

● 「ドイツ・イデオロギー」ノート

唯物論的歴史観の大前提、生産力と生産関係とはなにか、人間と自然の対立とはなにか、私的所有とはなにか、国家とは・階級とはなにか、生産力の展開(労働の分割)と生産関係(所有形態)の対応、部族所有とアジア的形態とはなにか、古代的共同体所有および都市国家とはなにか、封建的身分的所有と封建的位階制(封建国家)とはなにか、意識の生産とはなにか、支配階級と支配的思想、中世から近代へ、商業とマニュファクチュアの発展、近代の大工業とプロレタリアの出現、唯物史観と共産主義、唯物史観と「資本論」

● 「自然の弁証法」ノート

ヘーゲル弁証法の転倒、論理と歴史との統一の問題、対立物の統一、対立物の相互浸透の法則

● レーニン「国家と革命」ノート

フォイエルバッハの自己疎外の理論、マルクスの自己疎外の理論、マルクス・エンゲルスの国家論、第1章 階級社会と国家、第2章 国家と革命 1848−1951年の経験、第3章 国家と革命 1871年のパリコミューンの経験 マルクスの分析、第4章 つづき エングルスの補足的な説明、第5章 国家死滅の経済的基礎

● 海保静子著「育児の認識学」と自閉症

自閉症は脳の器質的病気か、自閉症の特徴1 観念的同一化の障害、自閉症の特徴2 観念的二重化の障害、自閉症の特徴3 意志形成および意志の固定化の障害と言語表現、幼児(赤子)における意志の芽生え、幼児(赤子)における観念的二重化、幼児における観念的同一化、自閉児の治療の可能性

● 弁証法の理解のために

「資本論」に対する弁証法の位置づけ、商品から貨幣への論理的展開の応用、武谷技術論の検討


更新履歴

私が参考にした図書は、以下のものである。古いものが多くて申し訳ないが、私が学生の頃から、定年後の今まで読み親しんできたものである。

参考文献