| 『SMiLE DVD』 観ました |
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待望の 『SMiLE DVD』 日本版が出たので購入しました。
DVD二枚組、収録時間250分を超えるヴォリューム。 お値段が6900円とやや張るものの、それに見合っただけの満足感は与えてくれる内容と云えましょう。 --- まず DISC 1 の目玉はドキュメンタリー 「BEAUTIFUL DREAMER」 。 David Leaf が監督したこの作品、ブートなどでも先に流れていましたが、 このように日本版がめでたく出て、ありがたいことです。 ブライアン・ウィルソンと 『SMiLE』 にまつわる物語を108分にまとめた良作。 前半は生い立ちから 『PET SOUNDS』 〜 「Good Vibrations」 を経て 『SMiLE』 にいかに取り組み、いかに挫折したかまでを、 そして後半は2003年10月の 『SMiLE』 再始動から2004年 2月のロンドン初演までの流れを、 数々の証言で検証していきます。 コメントを寄せているキャストも豪華。ジョージ・マーティン、エルビス・コステロ、 ジム・ウェッブ、アンドリュー・ルーグ・オールダム他多数。 もちろんヴァン・ダイク・パークスもたっぷり語っています。 ふつうのヒストリーものと違って 『SMiLE』 に焦点を当てているので、中身はなかなか濃厚です。 映像には見たことのない写真が数多く使用されており、 それだけでもファンとしてはうれしい作りです。 『SMiLE』 の先進性が主軸となって語られ、 伝説の番組 「Inside Pop」 での 「Surf's Up」 の弾き語りやバーンスタインのコメントなど、 歴史的な映像も登場します。 『SMiLE』 中止の大きな要因となったのがビーチ・ボーイズのメンバー(特にマイク)からの反発で、 その調和に苦労したことなどが赤裸々に語られます。 『SMiLE』 中止の要因としてよく云われていたドラッグの影響ですが、 ここでは否定されており、ドラッグそのものが 「インスピレーションを得るためのもの」 として肯定的に描かれていました。 「Strawberry Fields Forever」 を聴いてショックを受けたエピソードや、 家の中に砂場やテントを作ったという当時の状況を、 いわゆる 「取り巻き」 の当事者だった David Anderle、Michael Vosse らの証言で聞けたことが個人的には大きな興味を引かれました。 しかし何より驚くのは、 『SMiLE』 に関してブライアン自身が多くを語っていることです。 長い間寝ても覚めてもつきまとわれた呪縛から解き放たれたかのように、 「FIRE」 のエピソードすら饒舌に本人の口から聞くことができるのは、 状況が大きく変わったのだなあという印象を改めて受けました。 後半は 『SMiLE』 ロンドン公演への紆余曲折を中心に語られるのですが、 ある程度内容を知っている前半部分とは異なり、 新しいエピソード満載の後半部分のほうが、個人的には惹きつけられました。 ダリアンやヴァン・ダイクを交えた構築作業の貴重な映像、 不安をかかえたまま進行するバンド・メンバーとのリハーサルの様子など、 映像は 『SMiLE』 が再び動き出していくのを確実に捉えています。 インタヴューでも再三語られる不安、恐怖との闘い。 それでもそれを乗り越えていこうという様子は、何か胸に迫るものがあることは確かです。 そして迎えた初日、バック・ステージにはポール・マッカートニーの姿もあります。 結末はもちろんみなさん知ってのとおりのスタンディング・オヴェーションとハッピー・エンドを迎えるのですが、 私が個人的にキたのはヴァン・ダイクでしたねー。あれで涙がとめどなくね、もう。 ぼろぼろ泣いてしまいましたよ。お恥ずかしい。 「BEAUTIFUL DREAMER」 は、ちょっと辛口なことを云いますと、 中だるみな感がややあることと、 『SMiLE』 の持っていた 「いかがわしさ」 みたいなものがすっかり払拭されている感じがしました。 あまりにも明朗に表現されてしまっているというか。 とはいえ、しっかりおさえるところはおさえてまとめられているので、 『SMiLE』 に関してはひとまず決定版!のドキュメンタリーと云えるでしょう。 DISC 1 のボーナス映像には 「BEAUTIFUL DREAMER」 の予告篇がまずあって、 ロンドン公演の 「Mrs. O'Leary's Cow」 の演奏が一曲。 それからこれがちょっといいです、 13分にわたる「Aftershow featurette」 。 公演後のいろんな人からの感想を聞いたものなんですが、とにかくみなさん絶賛、絶賛、絶賛。 観客も有名人もバンド・メンバーもみなさんいやになるくらい絶賛の嵐。 そんな中でもダリアンのインタヴューには感涙です。ここでもウルウルしますよ。 さらに見逃せないのが37分にわたる四種類のブライアンへのインタヴューです。 「BEAUTIFUL DREAMER」 用の素材なのだと思うのですが、 興味深い話満載で、これだけでかなりの見ごたえ・お値打ち感です。 その中でもロンドン公演の期間中にヴァン・ダイクを介して行なわれたインタヴューがあって、 これがなんとも云えずいいです。友情を感じるんだなー。 『SMiLE』 最高。とか思っちゃう。 他のインタヴューではブライアン、 「 『SMiLE』 が10点なら 『PET SOUNDS』 は 4点だ」 などという暴言も吐いております。 いやいやウィルソンさん、ファンはね、 『PET SOUNDS』 も10点だと思ってますよ。ええ。 --- はやくも満腹気味の DISC 1 に続いて DISC 2 です。 こちらの目玉はなんと云っても 『SMiLE LIVE』 。 『SMiLE 2004』 全曲のライヴ・パフォーマンスが楽しめます。 どこかのホールか何かに撮影用にセットを組んで人を入れて収録したものらしく、 厳密には実際の 「ライヴ映像」 ではありませんが、 カメラワークもしっかりしているので、観て楽しむ分には何の遜色もありません。 これを観ると改めて、 『SMiLE 2004』 はライヴの産物だった、 ということが実感できると思います。 前にもどこかに書いたと思いますが、アルバムを完全再現した 『PET SOUNDS LIVE』 とは違い、 ライヴでの完全再現を通過してからアルバムとして完成したのが 『SMiLE 2004』 だと思うのです。 ですから、 『SMiLE 2004』 の原型・要素はこのライヴ演奏の方に凝縮されてると思うのです。 こっちが本家。繊細さも迫力もぎっちり詰まっています。 ブライアンもインタヴューで 「演奏するごとにどんどんよくなっていく」 と語っています。 私はこれを観て、今年 1月に観た東京公演を思い出して思わず興奮してしまいました。 メンバーが曲ごとに持ち替える楽器の数も相当なものです。 ここでこの楽器も鳴らされていたのか!という驚きもありますし、 とにかくカメラもパカパカ切り替わるライヴ仕様になっているので、観ていて飽きません。 お家でこれが観られるようになった幸せはなんとも云いがたいものです。一家に一枚ぜひどうぞ。 ブライアンもいつもに増して笑顔をふりまいております。 ダリアンのスマイルシャツは手づくりなのかなあ。 DISC 2 のボーナス映像には、まず 「Brian Wilson Photo Gallery」 があります。 これは幼年期〜 『SMiLE』 期〜'70年代初頭あたり?までの写真をただ映すというものですが、 BGMとして 「Roll Plymouth Rock」 「On A Holiday」 「Wind Chimes」 の三曲のインスト版を聞くことができるので、なかなかオマケ感が高いです。 続いて 「Brian Wilson At The Piano」 。 ブライアンがピアノ演奏をするというもので、 「BEAUTIFUL DREAMER」 の素材用だと思うのですが、これがなんとも微妙な内容です。 「Rhapsody In Blue」 は本篇でも使用された断片。 「Good Vibrations」 はブライアンのソロと、キャロル・ケイがベースで参加したもので、 どちらもインスト。地味です。 「Heroes And Villains」 はブライアンのソロは退屈、 キャロル・ケイがベースで参加したインスト、 ヴォーカル両ヴァージョンとも短くてやっつけ感に溢れています。 さらに同じフレーズを狂ったように弾き続ける 「Wonderful」 はミニマルな感じが新鮮です。 いちばん形になってまともなのは、ダリアンがピアノを弾いてブライアンが歌う 「Cabin Essence」 だと思います。おじいちゃんと孫みたいです。 そしてこれはオススメ、 『SMiLE 2004』 のレコーディング風景。 『SMiLE』 の曲群がスタジオで次々と料理されていく様を垣間見ることができます。 『PET SOUNDS SESSIONS』 などで聴くことのできた、 指示をばしばし飛ばすブライアンの姿を拝むこともできます。現役だ! 「You're under arrest!」 とか、笑えます。 このレコーディング風景、19分にわたって収録されており、 最後にブライアンがカメラに向かって 「まだ撮るの?」 みたいなことを云って終わるのですが、 ファンとしてはこれはもっともっと観たいところであります。もっと収録してくれてもよかった。 最後に、 「H&V」 のプロモビデオコンテストの受賞作品が入ってます。 クレイアニメがかわいい小品。 --- というわけで、ざっと個人的な感想と紹介を記載してきましたが、 250分を超えるこの収録時間にあって、私が抱いた感想はと云えば、 「もっと観たい!」 です。 ドキュメンタリーもある。ライヴ映像もある。おなかいっぱいのボーナス映像もある。 それでもなお、 「もっと観たい!」 と思わせられるものが、 『SMiLE』 周辺にはあるような気がするんですねー。 まあそんなないものねだりの悪いクセは抜きにして。 もちろん今回のDVDには10点満点さしあげます。最高です。 『SMiLE』 に心ときめいたことのある方は、ぜひ買いましょう。 |
| (2005.06.30) |
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