AIR (The Elements)

 地・風・火・水四つの基本元素をテーマにした 「The Elements」 のうち、 「風」 の部分にあたる曲のこと。 「The Elements」 は四つの元素に該当する四つの曲から構成されただろうと考えられ、 それぞれの元素にどの曲があてはめられるのか議論は重ねられてきたが、 「The Elements」 そのものが未完成のまま放棄されたため、 決定打となる確証は無いままである。

 現在までで、 「風」 の部分として有力視されているのは、 タイトルからもうかがえる 「Wind Chimes」 である。 多くのブートレグでも、 「The Elements」 の再現にあたって、 この曲が選ばれていることが多い。 サウンド自体、風を表現しているといえなくもない。
 しかし、のち1978年にブライアンが語ったことによると、 「AIR」 セクションはピアノによるインストの小曲になる予定だったそうで、 結局完成することは無かったという。 実際のところ、その曲はそもそもレコーディングされていないのか、 あるいは他の曲に流用されたのか、明らかではない。 (のち 『WILD HONEY』 に収録された 「Country Air」 が、 「AIR」 とされるインスト曲を元にして作られたという説があるが、確証は無い。) 発言どおり 「AIR」 がインスト曲だったとすると、 「Wind Chimes」 は 「AIR」 ではないのかもしれない。

 ブライアンがキャピトルに提出した 『SMILE』 収録曲目リストには、 「The Elements」 とは別に「Wind Chimes」が記載されており、 それぞれが別個の曲だったとも推測される。

 ここで一つ考えられるのが、 「Holidays」 である。 「Holidays」 はインスト曲であり、 サウンド的に同じく木琴の使われている 「Wind Chimes」 に近い。 さらにホイッスルの軽快な音も加わっているこの曲は、 「Wind Chimes」 よりも 「風」 を表現しているといえそうな雰囲気ではある。 他の曲ともつながりを持たず独立していることから、 「AIR」 の可能性も考えられる。
 また、通例 「WATER」 として考えられることの多い 「I Love To Say Da Da」 が、 「AIR」 なのではないかという説もある。 この曲の元が 「All Day」 というピアノの小曲から発展したことや、 中間部のコーラスなどが 「風」 を表現しているようにも考えられるかららしい。

 「beatleg vol.5」 にて、Yoshitaka Oishi 氏は、 個人的なコメントと前置きしながら、 『SMILEY SMILE』 ヴァージョンの 「Wind Chimes」 の囁くように歌われるエンディング部が、 「AIR」 を元にしているのかもしれない、という説を披露している。 これはご本人も確証は全く無いとおっしゃっているが、 説としては非常に面白い。 「Holidays」 のコーダ部分は木琴とピアノによって演奏されているが、 このピアノのパートを元にして作られたのが 「Wind Chimes」 のエンディング部であり、 実際のところ全く関係がないわけでもない。 (もちろん、だからといって 「Holidays」 が 「AIR」 だという確証でもないのだが。)

 いずれにせよ、 「残された」 楽曲から選べばの話で、 そもそもレコーディングされていなかったとすれば、 「AIR」 は、結局存在しなかった 「The Elements」 の幻の一部分であったといえよう。

<関連項目>
 → The Elements
 → Holidays
 → I Love To Say Da Da
 → Wind Chimes