Cabin Essence (Cabinessence)
Brian Wilson / Van Dyke Parks
(3:33)

<session date>
 ・1966/10/03 (Home On The Range - track)
 ・1966/10/11 (track and vocal, Home On The Range - vocal)
 ・1966/10/12 (track)
 ・1966/12/06 (The Grand Coulee Dam - vocal)
 ・1966/12/27 (Who Ran The Iron Horse - Brian's vocal)
 ・1968/11/20 (vocal)
 ・1968/11/22 (mix)

 「Home On The Range」 「Who Ran The Iron Horse」 「Grand Coulee Dam」 の三つの小曲を合わせて作られた、小組曲風の『SMILE』収録予定曲。 アルバムコンセプトの一つ 「昔のアメリカへのタイム・スリップ/風物誌」 を体現する歌詞とサウンドを持ち、完成度も高く、 『SMILE』 の中でも重要な位置を占める。 曲の構成は、 Home On The Range (1) → Who Ran The Iron Horse (1) → Home On The Range (2) → Who Ran The Iron Horse (2) → Grand Coulee Dam という順になっている。

 この曲についてブライアンは次のように語っている。 「この曲は鉄道についての歌だ・・・ぼくは遠く、鉄道の杭について思いをめぐらす。 中国人労働者たちはレール上で働き、それを打ち・・・ ふと見上げ、気付いて、そして言う、 頭上をカラスが飛んでいる・・・東方の精神が、異郷に消えてゆく・・・」
 まさにこの情景をサウンドで創造しえたのが 「Cabin Essence」 である。 鉄道に関するサウンド・エフェクトなどを一切使用していないにもかかわらず、 この曲は様々な情景と感情を描き出すことに成功している。

 ブライアンはこの曲の三つのパートについて、それぞれ別々にレコーディングを進め、 のちに一つに編集してまとめあげた。 例えば、1966年10月11日のセッション時点で、 曲のタイムは 2:50 であったという。 実際にリリースされた曲のタイムは 3:33 であるので、 編集の試行錯誤のようすがうかがえよう。 しかし結局、メイン・ボーカルなどは完成しないまま、途中で放棄されたようである。 「Grand Coulee Dam」 の歌詞について、 マイクとヴァン・ダイク・パークスが対立したのも一つの要因であろう (詳細は 「Grand Coulee Dam」 の項を参照。)

 1968年 『20/20』 レコーディング時になって、 カールとデニスが倉庫から 「Prayer」 のテープともども引っぱり出してきて、 カールのボーカルなどをオーヴァーダブして完成させた。 サウンド全体は、もともとブライアンが意図したものに忠実だったと考えられており、 『20/20』 収録のものが完成形といって間違いないようである。 『20/20』 収録の際に、タイトルが短縮されて、 「Cabinessence」 とされた。
 ヴァン・ダイク・パークスの書いた歌詞を元に 『SMILE』 ブックレット用の Frank Holmes によると、 もっと早い段階では、実際には使われなかった歌詞が存在していたそうである。

 なお、この曲のセッションテープは失われたのか、 様々なブートでもほとんど収録されておらず、 1999年の SOT vol.17 『SMILE SESSIONS』 にも収録されなかった (近年になり、ネット上で流出するようになる)。 幸いなことに、1993年 『GOOD VIBRATIONS』 ボックスに 「track only」 として、 バックトラックが収録されているので、 楽器のアレンジの巧みさを体感することが出来る。

 『SMILE 2004』 では、 『20/20』 のヴァージョンを踏襲し、 ほぼ完全コピーの形で収録されており、新解釈などの点は特に見られなかった。 タイトルは 「Cabin Essence」 に戻されている。

<公式音源>


 * 『20/20』
 * 『GOOD VIBRATIONS』 Box disc 5 に、 track only 収録
 * 『SMILE 2004』 に収録

<非公式音源>


 * Vigotone盤などいくつかのブートに、未完成トラックを収録

<関連項目>
 → Grand Coulee Dam
 → Home On The Range
 → Who Ran The Iron Horse