Good Vibrations
Brian Wilson / Mike Love / (Tony Asher)
(3:35)

<session date>
 ・1966/02/17 (track - 2:29)
 ・1966/02/18 (track)
 ・1966/02/23 (track)
 ・1966/02/24? (track)
 ・1966/03/24 (track)
 ・1966/04/09 (track - 2:28)
 ・1966/05/04 (track)
 ・1966/05/24 (track)
 ・1966/05/25 (track - 2:40)
 ・1966/05/27 (track)
 ・1966/06/02 (track)
 ・1966/06/13 (track)
 ・1966/06/16 (track)
 ・1966/06/18 (track)
 ・1966/08/24 (track and vocal)
 ・1966/08/25 (track)
 ・1966/09/01 (track - 1:15)
 ・1966/09/12 (track)
 ・1966/09/21 (track, vocal and mix - 3:40)

 ビーチ・ボーイズ最大のセールスを記録した、 ロック・ポップス史上に名を残す 『SMILE』 収録予定曲。 五つのスタジオを使用し、約七ヶ月に渡り二十回以上総計九十時間以上のセッションを経て、 五万ドル以上の莫大な制作費を費やし完成された。 三分半の間に曲調がめまぐるしく変化する斬新な構成の曲に、 マイク・ラヴによる男女間を歌った普遍的な歌詞を載せた、 芸術性と商業性が見事に融合したブライアンの創造の頂点ともいえる代表作で、 1966年10月にシングルが発売 (B面は 「Let's Go Away For Awhile」) され、 全米・全英で 1位を獲得した。 『PET SOUNDS』 と 『SMILE』 をつなぐ、重要な位置を占める曲である。 チェロによる三連符の処理や、 主に恐怖映画のBGMでしか使用されてこなかった電子楽器テルミンの使用 ( 「I Just Wasn't Made For These Times」 でも使用された) が特徴的で、 ブライアンはこの曲を「ポケット・シンフォニー」と呼んだ (もともとは、 Derek Taylor が称して呼んだものともいわれる。)

 ある時、母親に向かってほえる犬に対して、 「犬は人のヴァイブレーションを感じてほえる」 と言った母親の発言が着想となり、 ブライアンはこの曲を書き始めた。 中間部の低音による 「I'm pickin' up...」 のラインは、マイクによるものだという。 『PET SOUNDS』 期に 「Good, Good, Good Vibrations」 (「#1-Untitled」)というタイトルで第一セッションが持たれ、 当初は 『PET SOUNDS』 にも収録予定 (十四曲入り ! ) だったが、 この曲がビッグ・プロダクションになると感じたのか、 あるいは 『PET SOUNDS』 にはそぐわないと感じたのか、 リストからは外され、ひとまず 『PET SOUNDS』 は完成される。
 その後本格的にセッションが重ねられ、 途上では十一もの完成ヴァージョンが作られたという。 シングル・ヴァージョンでは使用されなかった楽器、 フレーズ、ヴァージョンが山のように残されており、そのいくつかを現在聴くことができる。 (初期の歌詞は 『PET SOUNDS』 コラボレーターのトニー・アッシャーによるものだったそうで、 その異なった歌詞も、いくつかの初期ヴァージョンで聴くことができる。) 6月 2日には、いまだ未詳の 「Inspiration」 のセッションも行われており、 一説には 「Good Vibrations」 の一セクション、アウトテイクのことかもしれないといわれている。 また、曲のコーダ部に登場するコーラスのフレーズが 「Look」 にも登場することから、 両曲に関連があるのではないかとも考えられている。

 他のビーチ・ボーイズがツアーに出ている間に、 ブライアンはトラックのセッションを進めた。 ツアー中のある時、ブライアンはカールに電話をし、 「Good Vibrations」 のトラックの断片を聴かせたところ、 カールは奇妙すぎるとして、難色を示した。 その後、ツアーから帰ってきたメンバーに聴かせたが、 そのあまりの斬新さと奇妙さにメンバーはとまどい、 ビーチ・ボーイズを壊す気か、と反対したという。 ( 『PET SOUNDS』 の時も同じ状況だったそうだが、 ツアーで演奏することがメインのメンバーと、 スタジオ制作がメインのブライアンとの意識の乖離がここでも足枷となり、 ブライアンはますます追い込まれていくことになる。) ブルース・ジョンストンは、 「空前の大ヒットになるか、ビーチ・ボーイズが終わるかのどちらかだな」 と言ったという。
 いずれにせよその後執拗なヴォーカルセッションが重ねられ、 9月中に完成を見ている。 現在のところ、そのヴォーカルセッション・テープの存在が確認されていないため、 「Good Vibrations」 のステレオ・ミックスは事実上不可能だとされている。 また、セッション・シートにもヴォーカルセッションの記録がほとんど無いため、 正確な日時や規模はわかっていない。

 ブライアンは当初、 「Good Vibrations」 を 『SMILE』 に入れるつもりは無かったが、 キャピトル側との議論の末、入れることになったとされる。 キャピトルはそれまでのレコード販売と同様に 『SMILE』 においても、 大ヒットしたシングル 「Good Vibrations」 を収録し、それをセールス・ポイントにしようと考えた。 キャピトルが制作したアルバム・カヴァーには 「Good Vibrations」 の文字が躍り、 ラジオCMでも 「Good Vibrations」 を使用。 「 『Good Vibrations』 の入っているアルバムが、売れないわけが無い」 と強気の姿勢でセールスを展開したが、結局 『SMILE』 が発売されることは無く、 「Good Vibrations」 の入った 『SMILEY SMILE』 はさっぱり売れなかった。
 1966年12月にブライアンがキャピトル側に渡したトラック・リストには 「Good Vibrations」 がもちろん記載されており、 おそらくABどちらかの面のトップに収録されただろうと推測される。

 シングル 「Good Vibrations」 発売から約二週間後、 ビーチ・ボーイズはミシガン大学でのライヴで 「Good Vibrations」 を演奏することになったが、 ブライアンはメンバーが曲を駄目にしてしまうかもしれないと懸念し、 急遽現地に飛び、丸一日かけてリハーサルを行った。 その甲斐あって、初演は大成功となり、 ブライアンはスタンディング・オベーションを受けたという。 (この初演の模様は 『GV Box』 に収録。)

 『SMILE 2004』 では、大方の予想を裏切り、アルバムの一番最後に収録されることとなった。 シングル・ヴァージョンを基調としながらも、 歌詞の大部分は初期に書かれたというトニー・アッシャー作のものに差し替えられ、 未使用パート・コーラスも追加される変形版となっている。

<公式音源>


 * 『SMILEY SMILE』
 * 『RARITIES』 に early take 収録
 * 『SMILEY SMILE / WILD HONEY』 2on1 に
   early take、various sessions 収録
 * 『GOOD VIBRATIONS』 Box disc 5 に sessions 収録
 * 『PET SOUNDS SESSIONS』 に初期セッション収録
 * 『HAWTHORNE,CA』 disc 2 に stereo track sections 収録
 * 『GOOD VIBRATIONS:40th Anniversary Edition』 に
   various sessions、instrumental 他収録
 * 『GOOD VIBRATIONS』 Box disc 5 に1966年のライヴ収録
 * 『LIVE IN LONDON』 に1968年のライヴ収録
 * 『IN CONCERT』 に1972年頃のライヴ収録
 * 『ENDLESS HARMONY』 に1968年のライヴ・リハーサル収録
 * 『HAWTHORNE,CA』 disc2に1967年のライヴ・リハーサル収録
 * 『LIVE AT KNEBWORTH』 に1980年のライヴ収録

 * 『SMILE 2004』 に収録

<非公式音源>


 * Vigotone、SOT 他、各種ブートレグに収録
 * SOT vol.15 (CD三枚組) にセッション収録

<関連項目>
 → Inspiration
 → Look