Surf's Up
Brian Wilson / Van Dyke Parks
(4:12 / 3:39)

<session date>
 ・1966/11/04 (1st movement track - 2:20)
 ・1966/11/07 (track - 2:20)
 ・1966/11/08 (1st movement - 2:20)
 ・1966/12/05 (vocal?)
 ・1966/12/15 (vocal, solo track&vocal)
 ・1966/12/16 (vocal)
 ・1967/01/23 (Part 1, Part 2 track)
 ・1967/01/25 (track)
 ・1967/02/08
 ・1971/06-07

 『SMILE』 収録予定曲。 難解な歌詞と冷たく美しい曲調とが融合した傑作。
 『SMILE』 期に何度かセッションが行われ、 バックトラックの一部等がレコーディングされたが、完成されず、 ブライアンがピアノのみをバックに歌うヴァージョンも録音されたが、 当時は発表されなかった。
 1971年、 『SURF'S UP』 に、 『SMILE』 期の音源を使用し、メンバーによってリメイクされたヴァージョンが公式に発表された。 1993年 『GOOD VIBRATIONS』 ボックスには、 『SMILE』 期の録音であるブライアンのソロ・ヴァージョンと前半部のトラックを収録。 2002年のブライアンのソロ・ツアーでも演奏され話題を呼んだ。

 1966年のある晩、ブライアンとヴァン・ダイクはドラッグを使用しながら、 「Surf's Up」 を書き上げた。 あまりにかけ離れていて逆にヒップに感じるとの理由から、 あえてビーチ・ボーイズのパブリック・イメージでもある 「Surf」 という言葉をタイトルに使用したという。 また、 「canvas the town」 という歌詞は、 もともと 「paint up the town」 というものだったそうである。
 11月 7日に、ホーン奏者を集めて二回目のセッションが行なわれており、 このときセッションに先駆けて、ホーン奏者を使った実験的なトラック 「George Fell Into His French Horn」 が録られている。 翌 8日にもトラックのセッションを行い、 「1st movement」と名づけられた 2:20 のトラックが録音されている。 (タイムは異なるが、おそらくこれが 『GV Box』 に収録された前半部のトラックではないかと思われる。)
 12月15日、ビーチ・ボーイズのメンバーによるヴォーカルセッションが行われたが、 うまくいかないまま終わり、メンバーは帰宅する。 その頃、 CBS-TV の特番のため、カメラクルーが取材に訪れており、 この日もスタジオにはカメラが入っていた。 メンバーが帰った後、深夜にわたり、 ブライアンはTVのためにピアノをバックにしたソロ・ヴァージョンをレコーディング、 二日後、自宅に場所を移し、ピアノによる弾き語りの演奏のパフォーマンスを残している。 前者は 『GV Box』 収録のもので、 後者は後日 「Inside Pop : The Rock Revolution」 という番組の中で放映され、 レナード・バーンスタインに激賞されたという。 (弾き語りの模様は 『AN AMERICAN BAND』 に収録。)

 それまでのヴァージョンに不満があったのか、 1967年に入ってからもさらに数回セッションが持たれており、 1月23日には朝晩二回、ストリングスをフィーチャーしたセッションが行われている。 1月23日、25日、2月8日のセッションは何枚かの写真が残されている。 しかしそれ以降セッションは行われず、結局完成を見ないまま放棄されたものと思われる。
 『SMILE』 末期のある晩、ブライアンはマリファナを吸いながらこの曲を聴き、 そのあまりの美しさに、思わずテープを抹消しそうになったという。

 1970年に入ってから、 『SUNFLOWER』 の次なるアルバムとして制作された 『LANDLOCKED』 の発売を、ヒット性が無いとの理由でワーナー側が拒否、 当時のマネージャー等を担当していたジャック・ライリー (一説によれば、ワーナーに就職していたヴァン・ダイク・パークス?) の提案により、伝説化していた未発表曲 「Surf's Up」 を収録することとなる。 アルバムタイトルも 『SURF'S UP』 と変更され、ブライアンの反対にも関わらず、 メンバーによってリメイクされた 「Surf's Up」 が公式に発表された。
 ブライアンは個人的な曲であることから収録に反対し、 収録するにしてもヴォーカルは自分で入れ直そうと試みたが、うまくいなかった。 この時、加えるために書いたのか、 ブライアンによる未発表歌詞の一部が走り書きされたメモが存在していたという。
 結局、もともと録られていた前半部のトラックをバックにカールがヴォーカルを取り、 後半は 『SMILE』 期のブライアンの弾き語りトラックをそのまま流用、 コーダにはこれも 『SMILE』 期の未発表曲である 「Child Is Father Of The Man」 をアレンジした圧倒的なコーダを付け加えた。 このコーダ部に 「Child Is Father Of The Man」 がぴったりあてはまり、 素晴らしい出来となっていることから、ブライアンが当初から意図していたものと考えられているが、 「Surf's Up」 収録に反対だったブライアンが果たして本当にアレンジを施したのか、疑問が残る。
 いずれにせよ遂に発表された 「Surf's Up」 にリスナーは感動し、 『SMILE』 の伝説化にさらに拍車がかかることとなる。

 のち1972年の 『HOLLAND』 セッション中、 カールは 「Surf's Up」 のさらなるニュー・ヴァージョンをレコーディングしたが、 出来が悪く、うまくいかなかったそうである。

 『SMILE』をコンセプト・アルバムと考え、 アルバムを 「アメリカーナ」 「エレメンツ」 の二面に分けるという立場から考えると、 「Surf's Up」 はその両者の要素を内包していることから、 おそらくアルバムの最後に、総括的な意味で収録されたのではないかと考えられている。 曲の完成度から考えても、アルバムのハイライトとなったであろうことが予測されるので、 最後に収録された可能性は高いと思われる。

 ブートでは、 『GV Box』 のトラックとピアノソロヴァージョンが続けて収録され一曲とされていることが多いが、 あくまでもバックトラックはバックトラックであり、 『SURF'S UP』 ヴァージョンを参考にするまでもなく、歌をのせるべきものであるので、 果たしてブライアンが意図したものかどうかは疑わしい。
 また、 『SMILEY SMILE』 収録の 「Fall Breaks And Back To Winter」 に登場する、 ウッド・ペッカーのフレーズと、 「Surf's Up」 前半トラックに登場するホーンのフレーズが似ていることが指摘されている。

 『SMILE 2004』 には、 『SURF'S UP』 収録ヴァージョンとほぼ同じ形で収録された。
 曲順は大方の予想を裏切り、アルバムの最後ではなく、中盤の楽章に収録されることとなっている。


<公式音源>


 * 『SURF'S UP』
 * 『GOOD VIBRATIONS』 Box disc 2 (Brian piano solo version)
 * 『GOOD VIBRATIONS』 Box disc 5 に前半部 track 収録
 * 『SMILE 2004』 に収録

<非公式音源>


 * Vigotone、SOT 他、各種ブートレグに収録
 * Vigotone盤などいくつかのブートに、セッション収録

<関連項目>
 → Child Is Father Of The Man
 → George Fell Into His French Horn