Vega-Tables (Vegetables)
Brian Wilson / Van Dyke Parks
(2:06 / 3:28)

<session date>
 ・1966/11/11 (track and vocal)
 ・1967/04/04 (vocal)
 ・1967/04/05 (track and vocal)
 ・1967/04/06 (track)
 ・1967/04/07 (track and vocal)
 ・1967/04/10 (vocal (and sound effect?))
 ・1967/04/11 (vocal)
 ・1967/04/12 (track and vocal)
 ・1967/04/13 (track and vocal)
 ・1967/04/14 (track and vocal)
 ・1967/06/03 (SMILEY SMILE version vocal)
 ・1967/06/05 (SMILEY SMILE version track)
 ・1967/06/06 (SMILEY SMILE version track)
 ・1967/06/07 (SMILEY SMILE version track)
 ・1967/06/15 (SMILEY SMILE version track and vocal)

 当時健康食品や有機野菜、菜食主義に凝っていたブライアンが作った、 野菜について歌った 『SMILE』 収録予定曲。 「The Elements」 の 「地」 として考えられることが多い。
 主に三つのパートに分けてレコーディングが進められたが、当時は発表されなかった。 『SMILEY SMILE』 期になって、 『SMILE』 期の録音部分も一部使用しながらリメイクしたものがレコーディングされ、収録された。
 1993年 『GOOD VIBRATIONS』 ボックスに、 『SMILE』 期の録音を Mark Linett によって編集されたヴァージョン、 2001年 『HAWTHORNE,CA』 に、 『SMILEY SMILE』 ヴァージョンに未発表部分を加え再構成した 「ステレオ・エクステンデッド・ヴァージョン」 が収録された。

 1966年12月にブライアンがキャピトルに渡したトラックリストには、 「Vega-Tables」 が単独の曲として書かれている。 その一方で、10月〜11月にかけて制作されたと思われる 『SMILE』 用ブックレットには、 イメージイラストの下に 「"My Vega-tables" - The Elements」 との表記があり、 この曲が 「The Elements」 の一部かもしれなかったことを示唆している。
 『HAWTHORNE,CA』 に収録された 「Promo」 での即興の会話や鼻歌は、 1966年11月というかなり早い時期の録音で、 当時ブライアンや友人らが凝っていた 「ユーモア」 がその源泉だったと推測される。
 11月28日には 「Mrs. O'Leary's Cow」 のセッションが行われており、 この時期に 「Vega-Tables」 という曲そのものの構想があっただけでなく、 それが 「The Elements」 の一部として考えられていた可能性もある。 時間的に考えれば、当初はそう意図されていたのが、 のちに単独曲として考えられるようになったのではないかと推測される。
 セッションの様子からも、大きく三つに分けたパートがレコーディングされ、 最終的には一つにまとめられたであろうことから、 ブライアン言うところの 「ポケット・シンフォニー」 の一つになっていただろうと十分考えられる。
 1967年に入り、 「Heroes And Villains」 が頓挫しシングルリリースが困難になると、 ブライアン自身、次のシングルは 「Vega-Tables」 になるだろうと語っている。 ブライアンが野菜や果物を売るスタンドの前に立っているジャケット写真まで撮られている。 (当時のブライアンは健康にいい有機野菜に夢中になり、 家の庭で野菜を栽培し、台所を改造してドライヴ・スルーにして野菜の販売をしよう、 とまで思っていたらしいが、マリリンに却下されたそうである。)

 初期ヴァージョンと思われるデモ風の、歌い方や歌詞の異なるテイクが発見されており、 おそらく1966年11月のセッションのものと推測される。 この時点ではまだ、 「ポケット・シンフォニー」 的な形態ではなかった。 その後しばらく放置され、『SMILE』 収録予定曲としては最も遅く、 1967年 4月になってから本格的なレコーディングが開始されている。

 最初のパートは、 ピアノのバックトラックに載せてブライアンとアルが歌詞を歌うもので、 セッションでは右と左に分かれて違う歌詞が歌われていたり (Velvet Undergroundの「The Murder Mystery」のよう)、 マリリン (あるいはダイアン・ローヴェル?) によって歌われていたりと、 試行の様子がうかがえる。 笑い声や、食器を叩いたり野菜をかじったりする様々な効果音も加えられ、 セッションじたい楽しい雰囲気で行われていたことがわかる。 制作当初、 『SMILE』 は人の笑い声や音響効果も入ったアルバムになるだろうとブライアンは語っていたが、 この曲でそれが実現されている。
 二番目のパートは、 「Mama Says」 と呼ばれるもので、 もともとは 「Heroes And Villains」 のタグの一つだったものが転用されたものと思われる。 この個所はのち 『WILD HONEY』 で一つの小曲として収録されることになる。
 最後に登場するのは、おそらく 「Bicycle Rider」 をアレンジしたものと思われる、 やや暗い感じのコーラスで歌われる 「Fade」 とも呼ばれるパートで、 この個所はのち 『SMILEY SMILE』 の 「Wonderful」 の挿入個所で登場する。

 さらにもう一つ、 「Vega-Tables」 にはピアノと上昇するコーラスによる短いタグが登場する (「ぱっぱっぱっぱっとぅーるるっとぅーるる」というやつです)。 この個所は 『SMILEY SMILE』 ヴァージョンの 「Vega-Tables」 にも登場するもので、 「Vega-Tables」 の一部と考えられるが、 1999年 『SOT SMILE』 では何故か 「Child Is Father Of The Man」 の冒頭に登場する。 果たしてどちらに意図されたタグであるのか、やや不鮮明である。
(このタグはついては、 『HAWTHORNE,CA』 のライナーによれば、67年 3月 3日にレコーディングされたと記載されている。 しかしそうすると、 『SMILE』 ヴァージョンの 「Vega-Tables」 に使用するには時期が早すぎ、 「Child Is Father Of The Man」 に使用するには遅すぎる。 また、 『SMILEY SMILE』 ヴァージョンの 「Vega-Tables」 でのタグとしても早すぎる上に、 音の感触が全く異なる。 果たして 3月 3日という日付は正しいのだろうか?)

 有名なエピソードとして、 「Vega-Tables」 レコーディング時にポール・マッカートニーがスタジオを訪れたことがある。 4月10日、ポールがスタジオに入ったとき、ブライアンはハル・ブレインと共に、 セロリをキューにしプチトマトとラディッシュを玉にしてビリヤードをしていたという。 ポールはブライアンを好ライバルとして認めており、ブライアンもポールと気が合ったと言っている。
 その日のビーチ・ボーイズによるヴォーカルセッションの後、 ポールはピアノで 「She's Leaving Home」 を弾き、 出来たばかりのアセテート盤で 「A Day In The Life」 を披露した。 ブライアンはお返しに 「Wonderful」 の一部を弾き語りしたという。 それからさらにジャム・セッションをが行われ、 ポールがベースを弾き 「On Top Of Old Smokey」 が演奏されたという。 また、 「Vega-Tables」 の中の野菜をかじる効果音を手伝ったともいわれている。 ポールの訪問は深夜 2時にも及び、 『Sgt. Peppers〜』 がもうすぐ出来る、『SMILE』 の完成を急いだ方がいい、と促したという。

 4月13日にブライアンはヴォーカルを加え、 4月14日には完成したといわれているが、 完成ヴァージョンといわれるものは発表されていない。
 「Vega-Tables」 レコーディング中の 4月中旬、 ヴァン・ダイク・パークスは、ワーナーからソロ・アルバムの契約の話がきていたため、 『SMILE』 プロジェクトから完全に去る (翌1968年 『Song Cycle』 を発表)。 そのせいもあってかそれから一ヶ月、ブライアンはスタジオには近づかず、 5月中旬にやっと足を運んだ 「I Love To Say Da Da」 のセッションを最後に、 『SMILE』 は未完成のまま放棄されることになる。

 『SMILEY SMILE』 期になり、一部のトラックを流用してリメイクされ、 「Vegetables」 と表記も改められ収録された。 (表記が改められたのはもっと前だという説もある。 『SMILE』 期の 4月のセッション中、この曲をシングル用にまとめはじめた頃から、 「Vegetables」 と表記を変えていたのではないか、といわれている。)
 ジャン&ディーンのディーン・トーレンスは 『SMILEY SMILE』 ヴァージョンの 「Vegetables」 を気に入り、 Laughing Gravy という変名を使って、1967年10月にソロでシングルを発表した。 ディーンと共同でブライアンは、そのプロデュースもしたという。 野菜やジュースなどの効果音は無いが、跳ねるようなベースとピアノの演奏で、 『SMILEY SMILE』 のヴァージョンよりも軽快で明るくなっている。

 1969年夏、ブライアンはかねてからの発想だったという健康食品の店 「Radiant Radish」 を共同経営で始めた。 ブライアンはパジャマにバスローブ姿で店に現れ、 レジを打ったり、客に商品の説明をくどくどしたという。 しかし経営は無茶苦茶だったため、結局店は約一年後に閉店した。

 『SMILE 2004』 では、 『GV BOX』 で聴くことのできたヴァージョンを大幅に構成変更、 短縮化し、 『SMILEY SMILE』 ヴァージョンのコーダを付した改作ヴァージョンで収録された。
 収められた楽章としては 「The Elements」 関連とされた楽曲がまとめられた楽章ではあるが、 直接的にこの曲やその他が 「The Elements」 であるとは明示されなかった。


<公式音源>


 * 『SMILEY SMILE』
 * 『GOOD VIBRATIONS』 Box disc 2 (『SMILE』 version)
 * 『HAWTHORNE,CA』 disc 2 に promo 収録
 * 『HAWTHORNE,CA』 disc 2 に stereo extended mix 収録
 * 『SMILE 2004』 に収録

<非公式音源>


 * Vigotone、SOT 他、各種ブートレグに収録
 * SOT vol.17『SMILE SESSIONS』 disc 2 にセッション収録
 * SOT vol.18 にセッション収録

<関連項目>
 → Bicycle Rider
 → Child Is Father Of Tha Man
 → EARTH
 → The Elements
 → Mama Says
 → Workshop