SFセミナーにSF初心者が行ってきた (2000年5月3日〜4日)


お昼ご飯を食べよう

11時JRお茶の水改札集合はニムさん安田ママさん有里さん青木みやさんヒラノマドカさんおおたさん、私の計7名。黒一点のおおたさんだったがなぜかとっても馴染んでる。有里さんにはとってもおひさしぶりだったのに、なぜかいつも御会いしているような錯覚を覚える私。

ぞろぞろと「ジョナサン」へ行きお昼をパクつきながら『ハンニバル』の話題や、安田ママさんのポスペグッズを見せていただいたり、男の子がいるのを忘れて、お尻がたれる〜話などしてしまったり…。

SFセミナー会場へ

マドカさん先導で会場へ。いつもの方向音痴ぶりはさすがに発揮されず、素直に到着。おんや、塵芥さん来てたのね。もしやMYSCONスタッフ系も出席率高し?

受付を済ませ、名札に名前を書き込む。自分で記入する方式はスタッフには楽だなあと思いつつ、本名とHNどちらを書き込むかちょっと悩む。結局併記してみた。MZTくんはディーラーズでたんまりとお買い物を済ませていた。私とニムさん、有里さんで落ち穂拾いをしようと目を皿のように放出本棚を眺める。アシューラ・ル・グィンなどのサンリオ文庫の100円にはうっそ〜!状態。でもでも、グィンは高い金出して買ったのを持ってるし、ダブリ本は持たない主義だし、で買うのは諦める。

私が買ったのはエリザベス・A・リン『遥かなる光』(ハヤカワSF文庫)500円、トマス・バーネット・スワン『幻獣の森』(ハヤカワFT文庫)200円の古本2冊と、ニムさんに「読んでおいたほうが良いわよ」とオススメされた著者ご本人が売ってらした北原尚彦『SF万国博覧会』(青心社)1500円新刊。

本を買ってうろうろしていると、倉阪鬼一郎先生に遭遇。3人できゃあきゃあ言いながらミーコちゃんとスワニーちゃんとバットちゃんを撫でさせていただく。有里さん、とってもうれしそうに「野望が果たせた」と一言。ディーラーズコーナーでは他に北村薫話リンク繋がりのちはらさんにご挨拶。初対面と思ったけどよくよく考えたらDASACON2で御会いしてたんだった。その後、ネットでいつもお世話になっている異次元を覗くホームページの加藤さんに初対面、ご挨拶。

いよいよ昼の部の始まり

◇角川春樹的日本SF史

聞き手の大森望さんが緊張ぎみなのがさすが角川春樹。見かけは普通のおじさんなのに良くも悪くもキャラたちまくりの角川春樹氏。「私の直感は当たるんです」と言い切るあたり自分の仕事への自負が見て取れた。ここ30年のSF→ファンタジィー→ホラーは先読みしていたと言うが角川がブームの先鞭を担ってただけにあながちホラでなさそう。その角川春樹氏がこれからはSF、しかもあと3、4年後に本格的にブームが来ると断言。春樹事務所ではSF担当を4名も抱えていると自慢気。

小松左京賞の審査員は小松左京本人のみらしいのだが200編も一人で読んで優劣を決めるのは大変そうだなあ。あとは小松左京に新作を書かせるとか、平井和正フェアをするとかの話は、現在の日本SF作家で吸引力がある人がいないというのを露呈した形になってしまったのはSF初心者としても少し悲しかったりもする。これから出版する若手SFの作家のお名前を聞くと、最近のSF事情はジュニア小説系に偏りがちなのかなという印象。参加の皆の反応が薄かったのは10代の若手の参加者がいないということなのだろうなあとか思ったり。そういえば先のSFブームの頃は福島正美氏に作家を紹介してもらって角川氏自身が交渉しに行ったとのこと。行動力の人なのだなという印象。それと、きちんと本を読んでいるなと感心した。

◇ブックハンターの冒険

牧眞司氏が自身の体験を元に古本の魅力を語る企画。う〜ん、これは内容がディープすぎて「よくわからない…」状態で終わってしまった。出てきた本の題名がすべてわからず、私が薄すぎるのか?と嘆いていたら、SF者でも分からないのが多かったと聞き、少しホッ。もう少し、牧氏の全般的なオススメSFとか、現在の古本屋事情とか分かり易い部分での話を期待したのだったが…。この企画は昼でなくてもというのが正直な感想。

◇日本SF論争史

巽孝之氏が編纂した『日本SF論争史』について、どういう内容か、論争はどのように行われたかを語る。クズ論争あたりはSFマガジンのバックナンバーで少し知っていたのだが、論争はかなり前からあったという詳細が少し聞けたのは面白かった。結局、いつも同じ議論を繰り返ししているのだそうで、論争に第三者が加わり人格攻撃が行われるあたりがほんとは面白いんだけど、資料性という部分と膨大になるという理由で全面カットしたそうである。しかしSFの定義なんてどーでもいいじゃんと思う私はやっぱりSFに薄すぎか。

◇新世紀の日本SFに向けて

新人作家、森青花氏藤崎慎吾氏三雲岳斗氏のパネルディスカッション。少しづつ違う世代のSF観の違いを出そうという狙いのようであったが、これが成功した感じ。仮想世界と現実世界の認識の差が森青花さん、藤崎慎吾さんお二人が「ギブスンあたりでSFから遠ざかった」というのに対し最若手の三雲岳斗さんは「ギブスンをかっこよく感じた」という意見。そういえば、角川春樹氏も「ギブスンからSFはつまらなくなった」と言っていた。ふむ、ギブスンで世代が分かれるのか?

それぞれの自分の作品についてのコメントに「小説を書く」スタンスがそれぞれなんだという印象。三雲岳斗さんが明確に「青少年のSF入門としての小説を描きたい」という発言に拍手が沸いた。あとは森青花さんがゲストにも関わらず後半、司会体質を見せて仕切っているのが、いいキャラ出しておりました。私としては3人の作品をどれも読んでいなかったのだが、作品の説明のうまさで森青花さんの『BH85』を読みたくなった。

◇妖しのセンス・オブ・ワンダーへようこそ

映像作家の小中千昭氏とアニメーションプロデューサーの井上博明氏の対談。このお二人の作品をひとつも見ていないわりには楽しめた。特に小中氏がこだわる世界観の部分や、海外の方との仕事ぶりなど、職人さんだなあと感心しながら聞いていた。

昼の部終了、夕食そしてふたき旅館へ

昼の部の座った席が悪かったらしく寒さに打ち震え、最後の企画の時にはタオルを首に巻いての拝聴。風邪をひかなかったのが不思議なくらい。我慢せずにスタッフに訴えに行けば良かった…。会場の外に出れば暖かいだろうと期待するものの、天気予報が当たり雨。ううっ、寒いじゃん。

知り合いを誘いあった結果17名に膨れ上がった団体は一足先に会場に出てお店を探してくれたマドカさんたちの先導でハンバーグ屋さんへ。ミディアムレアの肉汁したたるハンバーグを食べながら平気な顔で『ハンニバル』の話題をする女性陣数人。森山和道さんだったが「よく話題に出来るねえ」と呆れていたような…。

さて、夜の部の会場、本郷のふたき屋旅館へと移動。着いたら「女性は3階でーす」とのご案内。「女性部屋」と張り紙をしている部屋の空いてるとこを好きに陣取っていいらしい。他の女性陣に少し遅れて旅館に入ったニムさん、有里さん、私の3人で知らない5名の方々と同室。

夜の部のはじまり

◇オープニング

東京創元社の小浜徹也さんの張りのある声で作家、翻訳家、評論家、マンガ家、編集者など、SF界の有名人の紹介があり、ネット者有名人も、との声でマドカさん、安田ママさん、MZTくんが紹介される。その後、イベント紹介の時間があり、DASACONの宣伝は分かるのだが、なぜか「MYSCONもどうぞ」との声。確かに青木みやさん、ジョニィたかはしさん、塵芥さん、私とスタッフ4名は確かに参加率は高しなんだけど…。「ええ〜?だってミステリだし」とブツブツ言うものの「さあ」と促され、ジョニィたかはしさんにお願いしてMYSCONの宣伝をしてもらう。SFの集まりなのにミステリの集まりを宣伝して他の参加者はどう思ったか?

◇「中年ファンタジーの時代は来るのか?浅暮三文改造講座」

「作品を売るにはどうしたらいいのか?」と悩む作家、浅暮三文氏を改造?しようと、怪奇作家、倉阪鬼一郎氏、評論家、福井健太氏、東京創元社の小浜徹也氏が中心になって参加者全員でアドバイスをしようという企画。これはかなり楽しかった〜。出版事情の裏話から、書店員の話、徳間編集者さんの最近の読者が求める本の話、忌憚ない浅暮作品の感想、バンドマンの話なら書けるという浅暮先生に「それに密室殺人を絡めたらうちで出します」は小浜さん発言、などなど、色んな話題が飛び出す。私も「倉阪先生を見習ってもっとキャラたてなくちゃ〜。」と思わず、発言。私の「キャラたて」の真意は浅暮先生ご本人の事ではなく作品のことだったのだが、どうやら「ご本人が〜」というように取られてしまったようである。ご本人は十分にキャラが強いので大丈夫です。

◇サイコドクターあばれ旅 望郷編

風野ドクターのSF的な精神病患者の症例などを紹介する企画。柔らかい口調で淡々と、なかなかにすごい症例をお話なさる風野ドクターの話術に引き込まれた90分であった。ディック的SF世界そのままの世界を体験している人々の症例が中心。話題が話題だけに皆、マジメな面持ちで拝聴。この分野のことは無知な私でも十分に興味が湧くお話でした。

◇ネットワークのSF者たち Returns

ウェブページとファンジンの違い、サイトオーナーと読者の関係、イベントを作る側にとってのネット、などなどの話をする企画だったはずのこの時間。なぜか、小浜徹也氏の「20年目のSFセミナー」という記事に関する話題のみになってしまった。

しかも「ださこん勢」×「小浜徹也氏、みらい子さん、ちはらちゃん」と言った図式になる。そしてその「ださこん勢」という括りに誰は入るのか定かではないままに、なんとなく、ださスタッフ繋がりの人々が反応してしまう。そのなかにはDASACONに一度も出席していない加藤さん、有里さん、おおたさんも。私は一回しかDASACONには出席してないし、MYSCONスタッフでもあるし、この「ださこん勢」という言い方に対して反応していいものか、悩む。でもまあ「ださこん勢」=「ネット者系」ということなんだろうと、一緒になって小浜氏の意見に反応してしまった。

小浜氏「SFセミナーに参加した時点で、あなたたちはSFファンダムの一員だ」「参加したからには返せ」「これからはおまえたちがファンダムを継いでいけ」と言い切る。これに女性陣が「ええっ?」と反応。「ファンダム自体の意味合いが分からないのにいきなりそう言われても」「そもそもファンダムって何ですか?」「あの、私は今日が参加1回目なんですが、様子もわからず最初からそう言われても…」「「返せ」とは具体的に何を示しているのでしょう?」あたりは、私が言った。ネット系人々、特に女性陣が反応したのもほぼこれに近いことだったと思うが他の人のきちんとした発言をちゃんと覚えていない…。男性陣は元々、SF研所属歴がある方が多かったので反応は少々違っていたように思う。

追記)それに対して小浜氏がなかなか的確に答えてくれないので、ださ系女性陣が「教えてくださいよ」「ええっ、それじゃ答えになってない」と結託して詰問した感じになってしまったのが、対立色に見えたらしいのは残念です。

途中、みらい子さんが「お金を払って来てるから何してもいいと思っているんでしょう」という言い方には「違うううう!」と反発。どういう意味でおっしゃったか意図は分からないが、小浜氏と必死で接点を見つけようというなかで言われたので、ちゃんと企画に参加して発言しているのになぜこんなこと言われなければならんという感じ。煽ることないと思うのですが。

あと様子見できた1回目の参加者にまでも一括りにして「コンベンションに返せ」と言うことに「じゃあ、ここに参加したきた全員が本当に返しているのか?」というのを聞きたかったが発言するタイミングを失ったのがちょっと悔しい。

結局のところ小浜氏の言いたいことは分かるけど、やり方と言い方がまずかったでしょうという感じの議論に落ち着く。オフシャルなサイトで呼びかけたこと、文意が誰あてかわからず、具体性に欠けていた、ネットで呼びかけをしたのにも関わらずネット上で議論をしなかった、というような部分で反発をくってしまったのだと思う。

最終的に議論はループ。というより小浜さん少々酔っていて説得力ある会話ができず、愚痴を延々こぼす、私たちはなんとかネット者にも色々いるんだというのを分かって貰おうとつい口出しをするというかたち。小浜さんが言いたいのはたんに「SFセミナーという場に来たからにはファンダムの一員を自覚してほしいなあ。新しい人が来てうれしいんだけど、集団でいるし声を掛けづらいので誰かちゃんと紹介してよ〜。とくに森太郎」という感じ。なーんだ、みんなとおしゃべりしたかっただけなのねえだった気がする。

私としては、ネット繋がりではない方々とお話できたという部分で十分楽しんだので、この議論が不毛だったとは思わない。企画終了後も居座ったのはその証拠(笑)。周辺にいた方々にファンジンのことを教えていただいたり、SF研出身者の気質や、ご自分のファンダム経験などを教えてくださる方もいて、なかなか有意義でありました。

ただ企画として、今回の最初の顛末を知らない方々には訳が分からない議論だったのではないか?彼らにとっては完全に不毛な議論だったなとは思う。

朝の会話

一応、3時間弱ほど眠る。朝起きて、有里さんが口火を切ってくれたおかげで同室の方々とおしゃべり。ネットのことや、SF同人誌、「DASACONの第三勢力っていう言葉は得体がしれなかったですよ(笑)」、「OKKOさん繋がりの方たちなんですね〜」、などなど。

終わって

初心者向け本の紹介企画が無かったのが残念。新たに触発されて読みたいSFが増えることを期待しての参加だったが、ここ2年くらいのSF読みとしてはその部分で敷居は高かった。あと講演会と分科会だけで成り立っているので参加者がかなり意識して発言なりをしないと聞くだけの参加になってしまう可能性が大である。交流を求めての参加をしたい場合はかなり積極性が必要だろうし、SF読みとしてかなりの知識がないと会話にならないという実感があり合宿の部分では知り合いがいないままの参加は少々きついかもと感じる。

私自身は知り合いがいたことと、自分のテンションが高かったおかげでずうずうしく発言もさせていただけたし、楽しみました。ただ自分のSFに対する思いがそれほど強くないので、その部分を求められるとなあというのが少々あり。

ともあれ、皆様方にはお世話になりました。参加者&スタッフの皆様お疲れさまでした。