文芸投稿発表作品

平野謙
名前 : 平野謙(ヒラノケン)
kn316hrn@hotmail.com
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題名 : 「いし」
 
わたしのおもわくがずれて
あなたのいしをうごかせない
おもたいいしをうごかすには
なにがいるのかわからない
つよいきんにく てこのげんり
ゆうき ちえ
わたしのうではほそっちい
てこのげんりってなに
おくびょうものであたまのわるいわたし
 
おもたいいし うごかせない
なみだがでる
 

題名 : 「Inside」
 
記憶にあるものはモノクロ。鮮やかな想い出などありはしない。ネガに焼きついた
風景の記録のように鮮明でありながらわかりにくい。私のようだ。私は私でありなが
ら、映像に身を置く映画の女優のよう。鮮やかな衣をまといながら、私は私だと訴え
叫ぶ。警察が来ようが、通りの連中が笑おうが、友達にさげすまれようが、恋人に離
れられようが、私がここにいるのだと叫ばないと誰も気付かない。私はモノクローム
になる。消える事もないが、目立つ事も無い。どうってことじゃない。それなのに、
なにかを無くした気分になってしまう。こんなのごめんだって訴えてやりたい!どこ
に?どうしようもないのは分かってる。どうしようもなくてもどうかしたいって気持
ち。ひどい気分。でも私はなにも出来ない。モノクロの私が「消える」ってことは黒
くなるか白くなるかだ。白にも黒にも染めきれない、光りきれない。雨に打たれても
私の黒さは流れ落ちないし、泥にまみれてもいずれは白さが戻ってしまう。燃やされ
て消えるなんて問題外!私は燃え尽きたいわけじゃない!それに熱いのも嫌いだ。低
温動物だから。冷血動物だから。
>なにものにも変え難い幸福感をなにものにも変えられない。そのもどかしさを抱え
るのも私としては不本意。満ち足りたい。満ち足りた自分を自慢したい。なにも言い
たくない。壊れてる私を壊れたベッドが受けとめ、赤い毛布にくるまれて黄金色の液
体を身体にふりかける。肉体を信じられない私に肉体を信じさせるために。欲望と戯
れよう。希望を食らおう。賢人は言う。言いたい事など何一つありはしないのだから
口を紡ぐべきだ。愚者は言う。痛いのを我慢するのなんてナンセンスだ。訴訟にうっ
てでてもいい。凡人はそれを眺めて嘆息を吐く。全てナンセンスだ。ばかげてる。私
の脳髄は何者に何色にも染められないまま自ら染め上げる。「色は?」詩人は私に聞
く。「キミは何色?」私は言う。「何色であるべきかなんてことの重要性を問題提起
するべきではない。」詩人はなにも答えない、答えないまま微笑んで去っていく。そ
れからとあるドクターは聞く。「どのへんが痛いですか?」私はどこが痛いのかも分
からないまま巡り会ってしまったこの出会いを嘆きながらも答える。曖昧な答えにド
クターはしかめっ面。FUCK!心の中で悪態を付きながら私は曖昧に微笑み返しも
ういいですと席を立つ。すっかり気落ちした私は頭痛を催す。もう遅い。このタイミ
ングの悪さはどういうことだろう。不運。先ごろまでの私ならこの一言で済ませてい
ただろう。今はどうか。自分の不運を呪おうとしている。「出会いは必然」、賢人の
言葉をうのみにした私が悪いのだから、気持ちのやり場を失う。絶望。巣食っていく
絶望。私は救われない。私はいつのまにか幸せにも不幸せにもなっている。私の気付
かないうちに。
 

題名 : 「ソングフォーザワン」
 
己の汚い心でさえも美しい旋律は溶かす
私の心に何も無い そんなの間違いなのです
心にはある 私がいるのです
よく見もしないで言わないでください
 
よく見た上で愛してくださいな
出来れば口づけも
望みは果てないのです
あなたを想い心は幾星霜も駆け巡るのでございますから
 
どうぞこのままなどと申しません
あなたと交われたのなら
一瞬の後に霧散してみせましょう
あなたの心になにも残さないままに
私は霧散してみせます
 
いいでしょう?
 

題名 : 「氷の世界」
 
誰か私を救って
誰か私を傷つけて
 

傷ついた私は哀れで

哀れな私は
情けをかけてもらえる
情けは人のためならず
情けは私のためにある
 
暑い陽射しの中で倒れこんでしまいたい
凍える風の中で膝を崩して涙にむせびたい
 
何も無い場所で絶望に抱かれて死を考え呆けたい
 
何処までも見渡せる視力が欲しくて
 
そうすればがちがちに固まった
この氷の世界を抜け出せるのかも
 

題名 : 「ノーアンサー」
 
いつのまにか知らぬうちにここまで来ていた そんな風に思うことはざらにあるん
だ 僕の物言いは正確じゃないって?いいだろう キミにも納得できるように言い直
そう いつのまにか この言葉にキミは引っかかっているんだろう? 知らぬうちに
 ここにも引っかかっていることだろう ここまで来ていた ここはどこなんだなん
て無粋なことを聞くキミじゃない 僕には分かっているんだ それではキミが引っか
かっていることの一つ一つを洗いだそう いつのまにか なんて言っているがいつも
のおまえは多分に自覚的にことを進めるじゃないかって いいだろう、その通りだ 
流石にキミはいいところを突く 「自覚的」に無意識を装うことがあるのは事実だ
し、それは好悪のどちらに触れずとも僕を表わす一端だ ただし今僕が言いたいこと
においては違うんだ なにがどう違ってどこがどう信じられるかって? 僕自身です
ら僕が疑わしい でも本当なんだ キミは魔法を信じるかいなんてポップソングが
あったよね? 魔法を信じる心に内なる拠り所は必要としても、外なる拠り所の確証
を行うことなんて無いはずだ 魔法の存在の真偽と魔法の存在を信じる心は別問題だ
 おっと話が逸れたね 僕の言いたいことはつまり僕の言った言葉に何の深読みも必
要ないということなんだ ありのままに受けとめて欲しい いつのまにか知らぬうち
にここまで来ていた そのままだ 本当にそんな気持ちに囚われることがあるんだ 
自覚的だという自分を自覚していることも事実だがそれでは無自覚な自分はいないか
と言ったらそうでもない ただ無自覚な自分を「自覚」していることは自覚になるの
かもしれないな そこは僕の悩みどころだ 自覚的な僕の中にある無自覚が僕を「こ
こ」へと誘うんだ それはとてもナーバスで細やかな問題だね 無自覚は気付いた時
点で自覚に変わる それでも「ここ」がどこだと気付くのはその後になる その時点
では「ここ」については無自覚であるわけだから 自覚の中に潜む無自覚を僕らは見
過ごせないし逃れる事は出来ないんだろう
 
戻ります

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