文芸投稿発表作品

西 太郎
名前 : 西 太郎(ニシ タロウ)
nishi-s@rb4.so-net.ne.jp
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題名 : 「牛肉10年」
 
 私は、人生のすきま風をくらい脱サラする以前、銀行に勤めていた。新入行員の私は、パ−トのK
さんに、随分助けてもらった。ただひとつ、今思うと、悔しいことがある。
 牛肉、特にアメリカの牛肉は、風邪に良く効くというのだ。社会人二年目、ついに高熱をだす。
 半身半疑で、牛肉を食った。食欲がなく、けっこうしんどかった。
 ところが、熱が下がる、下がる。びっくりした。おばちゃんが、神様に思えた。
 この時から、私の牛肉信仰が、始まった。
 来る日も、来る日も、牛肉を食った。焼肉、すき焼き、しゃぶしゃぶ、その日以降、貯金が増える
ことはなかった。狂牛病も、なんのその、貸切状態の焼肉店で、ひとりもくもくと、煙にまみれた。
 私の信仰は、食うだけにとどまらなかった。牛の神秘に触れようと、インド神話の文献を読みあさ
り、牛にまつわる逸話を、集めだした。
 2003年1月、私は、愕然とした。
 アメリカのス−パ−で売られている牛肉の抗生物質耐性菌の記事だった。アメリカの牛は、病気に
ならないように、以前から抗生物質入りの飼料を、食べていたため、耐性菌が見つかったというのだ。
 私の風邪を、治療したのは、牛のエサだった。そして、このまま食べ続けると、抗生物質が効かな
い体になって、早死にするという現実が、見えてきた。
 でも、肉好きの身体(からだ)は、ベジタリアンになることを、許さなかった。いまでは、正義の
味方オヤジンジャ−として、ポ−クの生姜焼きにはまっている。
 

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