なつめやしとなつめ
なつめやし(デーツ)
なつめやし(デーツ)とは砂漠のオアシスなどに生息する椰子の実のことをいう。ヤシ科ナツメヤシ属で常緑高木。鉄分,カリウム,マグネシウム,カルシウムなどの多くのミネラルや食物繊維に加え,ビタミンA,B1,B2,ナイアシンなどがバランスよく含まれている。
実以外の部分も便利に使われる。幹と葉を乾燥させて組み合わせて家の屋根にしたり,樹皮の繊維で縄を編んだり,実を採った後の枝は,ほうきとしても使われる。
なつめやしの主な原産地は,イラン・パキスタン・サウジアラビア・オマーンなどの中近東諸国。また,なつめやしは,通常のヤシの木とも異なり,ヤシの木になるのがいわゆるヤシの実であることに対して,ナツメヤシは,中国のなつめに似た果実をたくさんつける。品種も何種類かあり,実の色は最初オリーブ色をしている。それが赤褐色になり,最終的に薄茶色や暗褐色,黒色などにかわる。
モーゼがイスラエルの民をエジプトから導き出したとき,神が約束した蜜とミルクの流れる土地の蜜とは,なつめやしのことであるともいわれている。歴史は古く,コーランには「デーツは神の与えた食物」とされ,旧約聖書では「エデンの園の果実」とされており,クレオパトラも好んで食していたといわれる。
干したなつめやしは,モッチリ,ネチッとして干し柿のような味で,とても甘みが強くて美味しい。皮がチョコレートのような色でも中は山吹色。中央に大きな種がある。
棗(なつめ)
棗(なつめ)は,クロウメモドキ科ナツメ属の落葉小高木でヨーロッパ南東部から中国北部原産。実の表面はなめらか。始めは淡緑色で熟すと暗赤色となる。中国では五果(桃,栗,杏,スモモ,棗)の一つとして珍重されてきた。果糖と粘液質,各種アミノ酸,たんぱく質,鉄分,カルシウム,カリウム,リン,食物繊維,ビタミンA,B2,Cなどの栄養成分がバランスよく含まれている。
漢方の世界では主として2種類のなつめが使われている。
大棗(おおなつめ たいそう)
名前の通り「大きな棗」の実。 果肉を乾燥させたものを蒸したり,刻んだりして利用する。不眠症,貧血,精神安定,滋養強壮,婦人強壮などに効果があるといわれる。干したものや蜜で煮たものがある。
酸棗(さねぶとなつめ)
種が大きく果肉も少なく「酸っぱい棗」の実から作られるのが酸棗。漢方では酸棗の種を使うので「酸棗仁」という名前で不眠症の改善などにも利用されている。酸っぱいので果物としては食べない。
干しなつめは,もっちりしたものもあるが,たまにカラカラに乾燥したものもある。ややかたさのある赤い色の皮の中はカラメル色の実で,中央に大きな種がある。干し柿のような味わいで,上品な甘みにやや酸味があり,美味しい。
中国の大棗