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ひろばのたわごと

このコーナーでは、ものづくりに関する様々な事柄を、思いつくまま書き流してまいります。
皆様からのご意見などお待ちしております。(こちらへお願いします)

No.6 生産ラインの基本要素と基本特性  (NEW)
No.5 生産ラインの最も重要な特性はなにか?  (NEW)
No.4  帰納的アプローチと演繹的アプローチ
No.3 TPS導入失敗の責任者は誰だ!
No.2  Lean、シックス・シグマ、SCM・・・欠けているものは?
No.1  ユニバーサルな生産理論の構築をめざして(本ページ)

 

No.1 ユニバーサルな生産理論の構築をめざして

かつて、トヨタ生産方式(以下、TPS)は生産理論の基本だと思っていました。そう思っていたのは、私だけではないと思います。製造業に関係する方々なら知らない人はいないTPS。一時期、製造業だけではなく、官公庁や郵便事業、病院などでもTPSを導入した、と話題になりました。TPSは単なる生産方式ではなく、経営フィロソフィーだ、なんていうことも言われました。

実際、私も生産現場で悪戦苦闘しておりましたので、TPSは大いに役立ちました。在庫削減、生産リードタイム短縮などなど、すべてはTPSがお手本でした。

ところがそのうち、TPSの教えと現実とのギャップがどうしても埋まらなくなってきました。「TPSが定着するには10年はかかる」という言葉に救われながらも、先のみえない日々を悶々と過ごしていたのを思い出します。

 そんな頃でした。TOC(制約理論)に出会ったのは。TOCの提唱する生産方法はDBR(ドラム・バッファー・ロープ)と呼ばれるもので、TPSの考え方とは180度違うんじゃないかと思われるほど異なった考え方をします。

 TPSでは平準化やサイクルタイム(タクトタイム)での同期による生産性向上を狙います。バラツキ、ムダをなくし生産ラインのラインバランスは100%を目指す。そうすれば生産性が高くなる、といわれればその通り。反論はありません。

しかし、ですよ。現実はそうはいかない。そこに悶々とした悩みがあったわけです。平準化、サイクルタイムによる同期生産なんて、そう簡単にできるわけではない。生産計画は頻繁に変更される。その結果、部品の納入遅れ、ラインの組み換えによる生産現場の混乱、工程仕掛の氾濫、受注生産品の納期遅延、見込み生産品の欠品、営業から矢の催促、、、挙げたらきりがありません。こんな状態で生産性が上るわけはありません。そんな状況を改善する糸口さえ見つかりません。

DBRは生産ラインには必ず、ひとつか二つのボトルネックがあるんだ、という認識から出発しています。だから、ラインバランスは凸凹でもいい、と。いや、ラインバランスが凸凹なのが一般的で、それが100%に近づけば、生産ラインが混乱して生産性は落ちる、とさえ言っておりました。

TPSに行き詰っていた私は、DBRの考え方は、ある種の救いでした。そこ辺りからDBRの研究が始まりました。Website「制約理論のひろば」を開設し、有志と日本TOC推進協議会を立上げ、創始者であるゴールドラットやそのグループとの交流を深めました。

DBRを、まっさらな境地で研究したわけではありません。TPSとの比較でDBRをみてたんじゃないかな。DBRTPSもどちらも生産性の向上を狙っているわけですが、前提条件はおおよそ真反対。ここが、おもしろいところでした。

また、ゴールドラットが製造経験のない物理学者だ、ということにも興味がありました。物理学者ならば、主張の背後に“理”があるのではないか。TPSの根底にある“理”を掴みかねていましたので、DBRを支える“理”とはどのようなものかと。

TPSは生産理論の基本である」、との前提に疑問を抱き始めたのは、現実とのギャップを埋めることができない日々が続く頃でした。平準化とは、どのような生産ラインでもできることなのか、ラインバランス100%とは、いや、一、二歩下がって95%でもいいが、普通の生産ラインの様(さま)なのか。経験的に言えば、TPSとは一般解ではなく、ある条件の下で成立する特殊解ではないのか、という思いが強くなっていきました。

DBRは、ありのままの生産ラインを前提にしているように感じました。

「ラインバランスは凸凹でもいいんだよ。でも、工程のどこかにボトルネックはあるよね。そこをきちんと管理するだけ」

生産ラインをこれほど単純に、わかりやすく捉えるDBRに、捜し求めていた確固とした生産理論の存在を期待したわけです。

 DBRは、変動、バラツキを前提にしているように感じました。工程を流れる時間の変動・バラツキをタイム・バッファーという概念で緩和していたからです。バラツキが大きければ、タイム・バッファーを大きくして、工程の安定性を維持します。バラツキが小さくなければダメだ、というTPSと対照的です。

変動・バラツキがあるとき、肝心要のボトルネックはどうなるのか? ボトルネックの定義は、生産ラインの中で一番能力の低い工程である、と。しかし、工程間の能力に余り差がない状態で、能力に変動があると、どの工程がボトルネックになるか特定できなくなりませんか。製品ミックスが変わってもボトルネックは移動します。

ボトルネックがうろちょろしたのでは、DBRのメカニズムが成り立たなくなりますよね。このことでDBRの適用範囲は狭くならざるをえません。DBRは、その後改良され、S-DBRとなりましたが、ボトルネックへの執着はそのまま、本質的な不合理性は内在したままです。期待した“生産理論”は、DBRにもありませんでした。

TPSDBRを説明できますか? DBRTPSを説明できますか?

どちらも、生産ラインの生産性を向上させる共通の目的があります。TPSDBRも、こうやるといいよ、という生産方法論であって“生産理論”ではないように思います。もちろん両者には理論らしきものはあります。しかし、それは、ある条件下でこうやるとうまくいくよ、という部分解の説明に留まっているのではないでしょうか。

私がイメージする“生産理論”は、TPSDBRも説明できる理論です。いや、それだけではなく、一気通貫生産方式もセル生産方式も、受注生産も見込み生産も、、、説明できる理論です。

 平準化、サイクルタイム等の主要条件を入れればTPSを説明することができて、ボトルネック固定という条件を入れればDBRの説明ができる、そんな“生産理論”です。

生産環境は千差万別。

今の生産方法は自社の生産環境に適していますか?

何を根拠に適否を判断しますか?

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