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TOC(制約理論)

TOCの起源

1970年後半、イスラエル人物理学者 エリヤフ・ゴールドラットはOPT (Optimized Production Technology)と名づけた生産スケジューリングソフトウエアを開発した。それまで、生産スケジュールの主役はMRP (Material Requirements Planning)であったが、実行可能な計画を作るためには人手が必要であったりで、実際に効果が出るシステムはなかった。OPTは一式40万ドルもしたが、導入した企業では生産性が大幅に向上し、生産リードタイムが劇的に短縮されたなどの効果が出て一躍注目されるようになった。

ゴールドラットは、OPTをもっと広めようと、その基本的な原理を説明するため工場改善物語「The Goal」を1984年に出版する。「The Goal」の主人公のアレックス・ロゴはある機械メーカの工場長。3ヶ月以内に生産性を大幅に改善しないと閉鎖する、と経営陣に宣告される。空港で偶然会った大学時代の教授 、ジョナが質問を投げかけながらTOCの生産改善手法をアレックスに教えて行く。試行錯誤を繰り返しながら、工場の生産性は良くなり、在庫は減り、納期遵守率も大幅に改善される、という物語である。

「The Goal」の出版後しばらくして、読者から思いがけない手紙が舞い込む。「The Goal」の通り改善を進めたら、小説とまったく同じような劇的な成果が出た、というのだ。40万ドルもするソフトがなくても同様な効果が出る理由を、ソフトそのものよりもその背後にある新しいパラダイムにある、とゴールドラットは考え、それをTOC (Theory of Constraints)と名づけ普及させる道を選ぶのである。

製造工場の改善

先ず始めにに、システムの目的を確認しなければならない。学校であれば生徒の学力の向上であり、病院であれば患者の治癒である。企業の場合は、顧客のため、従業員のため、株主のためであるが、これを満たすには、利益を上げ続けることである。

利益を上げ続けるためにはなにをしなければならないか? 設備効率を上げることか、自動化か、工数削減か、はたまた海外展開か。企業を今までとは違った切り口で捕らえてみる必要がある。原材料を購入し、建物、設備、人を用意し、製品に仕上げ て売る。利益は売上から原材料費を引き、その他もろもろの費用を差し引いた残りである。

利益=売上−原材料費−業務費用

ここで売上は単価 x 売上げ数、原材料費は製品単位当り原材料費 x 売上げ数。売上げと原材料費は製品個々と直結する費用である。業務費用は労務費、光熱費、償却費などなどその他全ての費用である。TOCではこれらの業務費用を1個1個の製品に配賦することはしない。従って1個原価は存在しない と考える。売上げ−原材料費(正確には変動費)をスループットと呼び、企業が稼ぎ出す利益である。

鎖の強度は一番弱い環で決まるように、工場の生産能力も一番能力の小さいところで決まる。製造の場合「ボトルネック」ともいう。一般的にConstraints(制約)と呼ぶ。鎖の強度を上げるためには、一番弱い環の強度を上げなければならず、それ以外の環を強くしてもなんの意味もない。工場の生産量を増やすためにも、ボトルネック工程の能力を上げなければならず、それ以外の工程の能力増強は意味がない。制約を認識するためには、例えば、原材料供給者、工場、営業、マーケットを一まとめにしてシステムとしてとらえる必要がある。

始めにやることは、どこに制約があるかを見つけ出すことである。制約はさまざまである。原材料の場合もあれば、製造工程の設備能力の場合もある。あるいは、作った分だけ売れないときはマーケットに制約があるかもしれないし、その場合営業政策に問題があ ればそれが制約になっていることもある。

ある工場を想定しよう。注文に応じきれない状態だとする。先ずどこにボトルネック(制約)があるか見つけなければならない。ボトルネックが特定できたら、そこでこの工場の生産量が決まっているのだから、この工程の能力を何とかして増やすことを考えなければならない。休み時間も稼働させるとか、段取り時間を短くするとか、加工ロットサイズを大きくしなければならないかもしれない。ここでは能力を引き出すのに費用はかけない。

ボトルネックが手空きにならないように、その前にバッファーを置く。バッファーの大きさは材料投入工程から ボトルネック工程に到達するゆらぎを含んだ時間分となる。ボトルネックが生産のペースを決め、材料投入をこのペースに合わせる。この方式をドラム・バッファー・ロープ(DBR)と言う。

それでも生産に応じきれないのであれば、制約工程(ボトルネック)の能力を向上させなければならない。今度は、設備投資をするとか、改造するとかして金をかけてでも能力を上げる。

ボトルネックの能力を上げた後、注意を要するのは、制約工程が以前と同じか、あるいは別の工程が新たな制約となったか、である。別の工程に制約が移ってしまったなら、新しい制約工程がドラムとなり、管理ポイントをシフトしなければならない。さらに生産量を増やさなければならないのであれば、新しい制約工程の改善に着手する。

思考プロセス

工場の改善を進めていくうちに、設備の能力が制約であるケースよりも、外注化政策とか販売戦略などの「方針制約」である場合が多い。その解決方法として開発されたのが「思考プロセス」である。

人間が介在するシステムが抱える様々の問題は、その因果関係をたどって行くと、もっと根本的な限られた原因 (中核問題)によって引き起こされている。その中核問題を見つける手法として「現状問題構造ツリー」がある。問題の多くは対立する条件を抱えている。それを解消するために「対立解消図」(雲の消滅)がある。改善策を実行したらどうなるかを見るためには「未来問題構造ツリー」があり、その達成 までの障害を明確にして解決を図るために「前提条件ツリー」がある。「移行ツリー」は目的達成に必要な行動を決めるために用いられる。

クリティカル・チェーン プロジェクト管理

プロジェクト管理のツールとしてPERT、CPM(クリティカル・パス法)が約40年前に開発されたが、その後この分野での進歩はほとんどない。このプロジェクト管理の分野にTOCの考えを応用したのがクリティカル・チェーン プロジェクト管理である。TOCのツールの中では一番新しいもので、日本に紹介されたのは1998年である。


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