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定期・日常のメンテナンス


ブローオフバルブガスケット

1.ポルシェ特許技術

ブローオフバルブにはタービン保護と、ターボラグを出来るだけ無くしてレスポンスを向上させる2つの意味合いがある。もともとフルフロート式の壊れにくいタービンを備えていても、75年の市販第一号車(74年の生産発表時からも)からこうした保護装置が装着されているところがなんともポルシェらしいと感じさせられる。また取り付け位置はインタークーラーとスロットルバルブの間で納められていることからも、単なる保護装置ではなく、やはりシングルターボのターボラグをなるべく減少させレスポンスアップを図ろうとしている考え方が読み取れる。

現在、ターボ車用に市販されているアフターもののブローオフバルブは、寸法自体も後付けしやすいコンパクト設計だが、どうやら「ブシュルルル」というアクセルオフ時の音を楽しむためのオモチャである場合が多いようだ。そちらを見慣れている人にとっては、911turboのブローオフバルブユニットがどれであるか、エンジンルームを見ただけでは見当がつかないことだろう。横幅400mmはあろうかという鋳物の黒い物体は圧巻だ。

スロットルと反対側の端部はインテークパイプに連結されており、これがちゃんとサイクルバルブとして用意されているものだということも一目で分かる。リリーフが働いて逃がされた空気はインテークパイプに戻されるのだから前述の「ブシュルルル」という音がする訳でもない。密かに動作して役目を果たしてくれている。もともとポルシェの特許品だから、これが本来の姿だと考えられなくもない。

さてリリーフ機能の構成部品の要はバルブ開閉のピストンとそれを制御するスプリング、エアの漏れを防ぐガスケットから成る訳だが、ガスケットはやはり樹脂パーツでありそれなりに傷んでいるだろうということが想像出来た。丁度、空燃比バランスがおかしく、それによって不調をきたしていた頃、トラブルシュートの一環としてこのガスケットも交換することにしてみた。

ケースの表裏側各1枚ずつで2枚合わせても700円程度の材料だ。バルブケースのカバーも割りに見通しの良い場所についているため、軽い気持ちで交換作業に取り組みたくなるが、なかなか手ごわい整備になるということに気がつくまでにそう時間は掛からない。

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2.ガスケット交換

見れば見る程コンパクトに綺麗に納められたエンジンルームなのだが、目の前に見えているバルブケースのカバーは、ユニット本体が固定されているままでは、いくら取り付けナットを緩めても外すことが出来ないのだ(個体差による誤差ではないと思うが)。前面側のカバーはスタットボルトの長さに対して、あと少しで外せるという位置まで引き出したところでファンのシュラウドに干渉してしまい、それ以上手前に動かせない。背面側のカバーは最初からスペース不足で取り外し不可能と判断出来る。

前面の蓋が開けられない限り中のピストンが取り出せないために奥のガスケット交換までたどり着けない。もしかしてすごく器用なメカニックは、このカバーが少し外れたときのわずかなスペースからガスケットのみを手際よく交換するのだろうか・・・。

諦めて、インテークブーツを抜き、各所固定ボルトを抜き去ってブローオフバルブユニットをゴッソリと取り外してからの作業に切り替えた。日が長い季節だったのが幸いしたが、冬の時期に同時刻で作業を開始していたら、暗闇に手元が不確実になってしまうところだった。ユニットを外せばガスケットの交換はたやすい。想像通り、というよりも想像以上に劣化しており、何とか原型はとどめているものの脆くなり、色もオイルにより真っ黒に変色していた。

最終段階。バルブ廻りをセットして元の位置にユニットを納める訳だが、インテークマニホールドからユニットの下部に繋がるパイプを接続するのにまた一苦労させられる。このパイプの長さが最小限に設定されているのできちんとバンド固定するのが難しい。暗闇の中なら諦めていたかも知れない。が、これはインマニの負圧によりピストンを動作させているものと考えられるため、なんとかして接続しなければブローオフバルブ自体が役目を果たさない。

整備と工賃について深く考えさせられる作業だった。慣れていれば他愛のない作業だろうが、専門ショップに依頼であればいざ知らず、そうでなければどういう請求が来るだろうか。

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ブローオフバルブガスケット.01

ブローオフユニットの解説図と新品ガスケット

ブローオフバルブガスケット.02

新品との比較



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