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定期・日常のメンテナンス


空燃比調整(1)

1.調整可能な燃料システム

本来、排ガステスターの示す数値を睨みながらアイドリング時のCO*/HC**濃度を適正値内に納めるように調整するものだ。911turboでも、Kジェトロニックの各構成部品がそれぞれに正しく機能している場合、排ガス濃度をピタリといわゆる標準値に決めることは難しくない。というよりもその場合は、調整など全く必要ないものだ。

しかし、各構成パーツ、あるいはそれらパーツの一部に経年による劣化が生じ始めると、やむなく燃料を濃くしないとアイドリングが安定しないということもあり得る。微妙なエアの吸い込みやリークは、スロットル開度が大きい時点ではさほど影響が出ないが、アイドリングや微妙なアクセルのオン・オフのタイミングで異常燃焼やエンジンストールなどを引き起こす。つまりそのタイミングで燃調が大きく崩れ、適正な空燃比ではなくなるということだ。

空燃比は言うまでもなく、燃料の燃焼に必要な空気の重量であり、理論空燃比(ガソリン)は14.7とされている。ガソリン1gに対し14.7gの空気があるときに完全燃焼する。自動車はこれを基準にリッチ、あるいはリーン側に空燃比を変化させて走りの各状況にもっとも適した燃料と空気をシリンダーに送り込むことでストレスなく走れる。

'88turboにはO2フィードバック制御もコンピュータによる学習もない。燃調は完全に機械的にコントロールされている。計測した空気量に対する燃料噴射量が決定している。従い、エアーフローセンサー以降、インテークマニホールドまでの経路のいずれかでエアの吸い込みや漏れがあれば、空気量が計測値と違ってしまうために燃調が崩れる。

この状況を改善するには(原因が燃料系統でなくエアー量の場合)、当然リーク箇所を特定し処置すれば済む訳だが、案外見つけにくい場所であったり、ガスケット類の確認には分解作業が出るために手軽ではない。DIY整備ということであれば、さらに箇所限定には時間と根気が必要になってくる。

実際には、不具合原因がエアーのリークであると最初から判断出来ない訳なので、燃料と空気量の両方を同時に、Kジェトロニックシステム全体として不具合要因を探っていくことになるため、さらに原因箇所特定には時間が掛かる。

エアーの吸い込みにより燃料が薄く、アイドリングの不安定さやアフターファイヤーの現象が出ていたので、暫定措置として少々アイドリング回転数も高めつつ、燃料噴射量自体も多くして乗っていた時期がある。アイドリング時にストールすることはなくなるが、アフターファイヤーの根本的解決にはならないし、排ガスは目にしみる程濃い。また高速での加速はダルになり、アクセルを踏み込むと燃料過多の証明のごとく黒煙を噴出していた。結局この不具合はエアーホースの亀裂一箇所が原因だった訳だが、点検項目が多数(複数の原因が同時に不具合発生の可能性もある)、関わるパーツ数もかなりの量にのぼるトラブルシューティングだったために苦労した。

このように自身で空燃比を調整して・・・というのは、機械式燃料噴射装置を持つ車なればこそで、コンピュータ制御されている現在の自動車ではこうして自力で何とか解決することも出来ない。エンジンの3要素と言われる「圧縮・火花・混合気」だが、混合気も自分で何とか微調整出来るシステムは今となっては存在しない。

*1.5 ∼ 2.5%
**300ppm 以下
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2.調整は2ステップ

冒頭にも書いたように、本来はテスターなどで排気成分を見ながらの調整が正しい方法だろう。しかし個人でそんな機材を導入する訳にもいかない。

Kジェトロニックの参考文献などを読めば読む程、ミクスチャーコントロールバルブの調整は微妙なタッチが要求されるように思えてくるものだ。が、それがかえって中途半端な調整をしてしまう原因にもなっていた。

3mmHEXでミクスチャーを調整するに当たっては単純に、濃くなる方へ(スクリューを締める方向)回していけばいい。万全を期するなら、薄さの下限あたりから徐々にスクリューをねじ込んでいけばいい。すると、アイドル回転数は徐々に上昇し、ある程度のところで回転数上昇が頭打ちになるポイントがある。その前後で最も滑らかにアイドリングするポイントを探り、位置決めする。

ミクスチャーコントロール調整スクリューが決まれば、後は適正なアイドリングの回転数(900±50rpm)になるまで、アイドル調整スクリューをねじ込む。テスト走行などで、低回転から高回転までスムーズであることを確認すれば完了だ。

「教科書」には2箇所の調整を交互に行う、と記述されたものが多いようだが、それが返って調整を難しくし、ココでよしというポイントを決めるのになかなか判断がつかなかったりもする。今回紹介した方法は単純で、要約すると次のようになる。

  1. ミクスチャーコントロールを薄目から濃い目へ回す。
    最も回転数が上がった(安定した)場所で回転をストップ。
  2. アイドル調整ねじを絞り、回転数を900rpm前後に合わせる。

上記の方法で燃料が薄過ぎるために引き起こされるトラブルを招くことはありえない。脈動の無い滑らかなエンジンの回転と、連続した排気音(ボーーーという連続音)であれば、調整出来たとしていいだろう。厳密なCO、HC濃度を測った場合、もしかしたらこのポイントから多少ずれたところに適正値があるかも知れないが、そのときは補器類などがうまく作動していないか、ガスケットなどからエアを吸い込んでしまっているかだと考えられる。

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