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定期・日常のメンテナンス


クラッチオーバーホール

ラバーダンパーの劣化に起因していると思われるクラッチジャダーを解消するために、クラッチオーバーホールに踏み切った。本当のところは、経たりが来ているリヤショックのリフレッシュを、と考えていたところだった。しかしこのガクガク症状(自分で乗る分には、症状が出ない様にジェントルな操作も出来なくはない)を後回しにするのは得策ではない。足回りより当然重要度・緊急度は上だ。

車を工場に預け、エンジン・トランスミッションが下りて、切り離し完了時点で連絡頂いた。予想していたとおり、クラッチディスクのラバーダンパーが劣化し、千切れていたようだ。だましだまし乗り続けていなくて正解だった。その他クラッチディスク交換以外で、ついでに対策しておいた方がいいメニューも何点か報告頂いた。

  1. クランクシャフトのラジアルシール
  2. トランスミッションのメインシャフトシール
  3. オイルタンクのサクションホース
  4. オイルのリターンホース
  5. ブローバイハウジングのガスケット

エンジンを下ろすような機会もそうはないため、作業追加で上記5点に関してリフレッシュしてもらうことにした。シール関係、ゴムホース関係は、10年使えれば御の字というところだろう。加えて、エンジンルーム隔壁の遮音・遮熱のスポンジシートも丁度いい機会であるため、新品の貼り付けを依頼した。

クラッチカバー、フライホイールを取り外す。さすがに長年無交換で使用しているだけあり、錆のせいで全体が赤色を呈している。交換する程の劣化はないため、ディスク当たり面など研磨して再利用する。但しレリーズベアリングはそれなりに経たってきており、回転に伴って擦過音を出しているため、新品交換することに。

クラッチディスク.01

クラッチディスクにはポルシェマークと'94の刻印

レリーズベアリング.01

レリーズベアリング


今回のオーバーホールにより、当然クラッチワイヤーなど適正に調整されることもあり、若干ではあるがクラッチペダルの操作感が軽くなり、ミートポイントも少し動いた。そして、今回の最大の対策ポイントだったクラッチミート時のガタガタという揺れは見事に解消され、スムーズな加減速が可能になった。

ペダルの踏み具合などに大きな変化がなかったのはやはりクラッチディスク面自体がまだ交換する程度に至っていなかったからだろう。もしも緩衝材がラバーでなければ、ディスクは10万km程度まで使用出来ると思われる。

ディスクが平気なのにラバーが粉砕する・・・なんとなく不条理さを感じなくもない。だがよく考えてみる。今回交換処置をした各所シールなどは、トランスミッションを切り離してクラッチ部分を分解しないことには外観から劣化状況、オイル漏れ状況は確認出来ないものだ。そしてこれらは恐らく10万kmは持たないだろう。ラバーが砕けてドライブフィールの悪化という信号を出し、突然エンジン・トランスミッションにトラブルを引き起こす前に、シール交換を促しているのかも知れない。

と、持ち前のプラス思考で思い<込む>こととした。生産設備機器から家電まで、あらゆる機械ものというのは、耐用年数としては10〜15年と常識的に考えられている(少なくとも日本では)。10年、15年が経過したときに買い換えるのかオーバーホールし再利用なのかについては、その製品が耐久消費財とみなされているかどうかに係ってくる。日本では、車も含め、家庭で使用される機械機器は殆どが償却・買い替えという考えに基づいて生産されている。従い、10年10万kmの自動車は乗り換え対象でこそあれ、商品としての価値は見出されることは殆ど無い。

思うに、ヨーロッパではその辺の考え方が違っているのだろう。ポルシェにあっては、確かに15年で今回のような消耗劣化品の交換は発生する。だがパーツ交換だけで問題なく機能が回復し、それらを包み込むボディに至っては殆ど劣化が見られない頑丈なものだ。

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オーバーホール.01
リフトアップされた930。エンジン、トランスミッションが下ろされている。この状態でなければ遮音・遮熱スポンジシートをしっかり貼ることは出来ない。本当ならばスポンジシートを剥がすのもこの状態で行いたいところ。
オーバーホール.02
930/66ユニット。オイル圧送系統でのオイル滲み対策で、ホース3箇所交換。タービン接続部のゴムスリーブも劣化しているが、この辺りはエンジン搭載状態でも交換可能なので、今回は手をつけない。各パーツ表面は一様に錆や汚れもあるが、エンジンオーバーホール時にでも綺麗に磨いてリフレッシュすることに。
オーバーホール.03
分解したプレッシャープレート、フライホイール、レリーズベアリング。円盤表面はうっすらと錆により赤色となっていたが、大きく傷んでいる訳ではないため、研磨して再使用する。ベアリングの方は新品に交換。
オーバーホール.04
フライホイールを取り外したエンジン。シールの劣化により、オイルが垂れている(黒く筋状に見える部分)。これはエンジン、トランスミッションを分離してみないと発見出来ない症状。同じゴム製品だから、丁度交換周期が合うのだろう・・・と思いたいところ。
オーバーホール.05
問題のクラッチディスク。ラバーダンパーは2層構造になっている。ディスクとの接合部がぐるり一周裂けている。所々裂け目が大きく広がっていることからも、オーバーホール時期をこれ以上先延ばしにするのは危険だっただろう。ディスク部分については、厚みも十分で、新品時の表面模様も残っている。ディスクが減ってクラッチが滑るために交換するのではないところが、なんとも複雑だ。
オーバーホール.06
クラッチディスクのB面。中央に見える3本の爪はラバーダンパーの芯と一体となっているもの。この爪がストッパーに当たるためダンパーの動きを制限しているようだ。仮にラバーが千切れてしまっても空回りすることが無いような構造になっている。クラッチ交換前、ペダルを踏み込んだ際にコツンと音を立てていたのはこのストッパー部分なのだろう。
オーバーホール.07
磨かれたフライホイールが装着されたエンジン。ホース類も交換され、内外ともオイルの滲み対策が施された。

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