鳥ごよみ

         Apr.2000
中部山岳国立公園立山・室堂平へサンダーバードを見に行く 1



 サンダーバードとは、カミナリの鳥。そう、ここでは雷鳥のことである。
 6、7年前の秋に初めて室堂に行った。みくりが池での2時間程度の散策だったが、ライチョウは見つけることができなかった。いつかまたくれば見られるだろう。と、今まで無関心を装っていたが、近年、室堂平では100羽以下に減っているという。北海道の鶴の観察は老後にとっておけると思っているが、雷鳥はそうもいっていられないようだ。そして2000年の今年、立山室堂行きを決心した。
 さて、雷鳥は季節によって羽の色が変わる。どちらの雷鳥を見に行こうかと瞬間考えたが、ここは迷わず白い雷鳥である。雷鳥と言えばイメージ的に「白」でしょう。GWに室堂に行けばまだ白い雷鳥がなわばり宣言をして見やすいだろうと、時期を決定した。



4月28日 出発前夜
 ネットで立山室堂当地の当日の天気が掲載されていることを前夜に知る。なんとその日は雪だった。気温は氷点下。しかも積雪8.5m!。標高2500mはまだそんな環境なんですか。そういや高さ20mにもなる雪の回廊があるんだっけ。結構な出費もするし、めったに行けるもんじゃなし、晴れてくれないと困るなぁ。行っている間中ずっと雪だったらシャレにならない。
 気象庁天気予報では、29日からは晴れのようだ。しかし山の上の天気は保証できないのが定説。拝みながらの就寝。



4月29日

 電車を乗り継いで大宮駅に。9:07発の長野新幹線「あさま」に乗る。長野駅には10:20着。さっそくバス停広場に行く。25分前に前のバスは行ってしまったようだ。次のバスまでは1時間ある。なるべく早く山の上に着きたかったので、ひとつ前のバスに乗れるよう新幹線を手配しておけばよかった、とちょっと後悔する。
 ここ長野駅からは善光寺が近いようで、バス会社の人(?)が、広場に一人つきっきりで「善光寺行のバス発車しまーす」と逐次案内していた。後から聞いたが、長野は善光寺の門前町だそうです。
 広場はバスの撒き散らす黒い排気ガスでとても落ち着いて待てそうもない。駅舎内の待合室で時間をつぶすことにする。
 待合室の中のうどん屋さんはとても繁盛していた。朝ごはんがいつもより早かったので、おなかがすいていたが、バスの中でお昼を食べる事にしていたのでここは我慢。
 そろそろ発車時刻。駅で食べたかったマスずしを買う。 扇沢行きのバスは11:30発。観光バスタイプ。50人は乗れるが、 乗車はほんの6人。乗り心地はいまいちで揺れが凄い。
 バスに乗って1時間も過ぎると、雪のかぶった立山が窓の外にせまってくる。頂上が見える。天気は良いようだ。13:10終点扇沢に到着。扇沢の駐車場はとてつもなく混雑している。自家用車数百台、観光バス数十台、所狭しと駐車されている。いったい何千人が山にいるのだろうか、怖じ気づく。
 トロリーバス乗り場では電光掲示板で室堂は快晴と出ていた。ラッキー!まず初日は晴れのようだ。
 13:30発トロリーバスで黒部ダムへ。乗車中に流れる、当時の日本の土木技術の粋を集めて80mの破砕帯を突き進んだ話は感心する。 アナウンスを聞いているうちに黒部ダムに到着。黒部ダムは前に来た時には水量 が凄かったが、
黒部ダム 黒部湖面を望む
この時期の黒部湖は水もなく寂しい限り。足早に通過する。
 黒部ケーブルカー、立山ロープウェイ、立山トロリーバスと乗り継ぎ、最終目的地の室堂ターミナルに到着。時刻は15:00。家を出てからざっと7時間以上はかかったことになる。ふぇ〜。
  ターミナルは観光客で埋まっていた。すごい人だ。今夜の宿泊先であるホテル立山にチェックインしにいく。ホテル立山は室堂ターミナルに併設されているのですぐだ。入り口をくぐるとそこは別世界。 静かで落ち着いた雰囲気。ひと通り説明を受けて部屋に。すぐさま仕度をして外に出る。
みくりが池 立山室堂山荘方向を望む
天気はとても良く、裸眼では眩しくて目を開けられない。サングラスをかける。叶内拓哉氏の「鳥に会う旅」を何度も読んでいたので忘れなかった。(氏は裸眼で雪目になってしまったそうだ)
 雷鳥を目指し、みくりが池に向かう。踏み固められた雪道はつるつる滑る。足元に注意しつつ、鳥レーダーを働らかせつつ進むが、まったく鳥影は感じられない。だいぶ観光客もいるし、晴れている日中は見にくいと聞いている。人の居ない、みくりが池北岸近くに腰をおろして雷鳥を探すことにする。雪が溶けてハイマツがむきだしになっている所をしらみつぶしに双眼鏡で調べる作業がつづく。しかーし、依然、なにも気配なし。

それにしてもいい天気。太陽光線を浴びている部分はとても暑い。紫外線も強烈に降り注いでるんだろう。そうそう、水深15mのみくりが池はまっ白い雪に覆われ、水面は見えない。今は巨大なただのくぼみと化している。
 ぼんやりすること1時間。向こ〜うに
尾根向こうの尾根に発見
人が立ち止まってうろうろしているのを発見。もしやと思い地面を探すと、白い豆粒がちろちろ動いている。
「ライチョウだ〜。」
雷鳥がどこかに行ってしまう前に一目散に向かうも、雪で思うように歩けない。フウフウ言いながらやっとたどり着く。雷鳥は特に逃げる様子もなく平然と餌探しに夢中。
 初めて出会ったこの雷鳥は念願のまだ白いオスであった。
雷鳥人生初めてのナマ雷鳥(足輪付)
人に対する警戒心は薄く、かがみながらそお〜っと、ほふく全身で近付くとだいぶ近くまで寄れた。高山鳥は警戒心が薄いという図鑑表記を肌で実感する。
 興奮しながら撮影してきたが、ある程度フィルムに収まってくると、アドレナリン分泌も少なくなり、冷静になってくる。
 面白いのは、強靱な後ろ足を使ってハイマツの上にかぶっている雪をかき出す動作だ。
雷鳥ガリガリと後ろに飛ばす
なるほど、くちばしで点で突くよりも、足で面を一気に露出させた方が効率が良い。
 白い雪の上の白い雷鳥はホントに目立たない。道を通る人に何も言わずにいると、通り過ぎてしまうほどだ。環境に見事適応している。たしかに図鑑で知っていることだが、実物を見るとなおさらだ。
 さて、陽が傾き時間も遅くなった。ここからホテルまで帰らなきゃいけない。雷鳥が飛び去ってしまえばあきらめもつくが、相変わらずエサをつついている。名残惜しいが、その場をあとにする。
 ホテルまであと後半分というところで、さっきとは違う雷鳥が1羽横切る。この雷鳥は赤い肉冠がとても印象に残った。観光客はもうほとんど居ないから安心して出て来たか。よく観察する間もなく私を見るなりみくりが池方面へ飛び去ってしまった。少なくとも2羽以上の雷鳥がいることが確認できた。明日また会えたらいいな。ホテル到着直前、パラパラと人が。なんときれいな夕陽。 sunset陽が沈む。
  山の向こうに陽が沈んだ。ホテルに巣を構えるイワツバメがまだ飛び交っている。ホテルに戻るとロビーに立山天気予報みたいなものがあるのを知る。室堂が晴れる時は、
 1:大日岳に明るい夕焼け 2:室堂でイオウのにおいがする。
とあった。1はOK。2も実は雷鳥探しの時、香りがバンバンしていたのだ。これは完全に 明日は晴れそうだ。



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