そりまちたかし(2000.10.14)

 

とあるビルの廊下の片隅の休憩スペース。

ボクは、コーヒーの自動販売機で、コーヒーを買って、

そのすぐよこにある、固い茶色いソファーに座ってそれを飲んでいた。

自動販売機といっても、缶コーヒーではない。

紙コップがでてきて、それにジョボジョボと注がれるタイプのやつだ。

ぼくが、コーヒーを飲んでいると、廊下の向かいのドアが開き、

そりまちたかしがコーヒーを買いにでてきた。

そこは、彼の楽屋だったらしく、自動販売機にもなれた手つきでコーヒーを買っていった。

その次にだれかがコーヒーを買おうとしたときに、10円釣り銭切れの赤いランプが点灯した。

その人は、釣り銭のないように、お金をいれたのに、自動販売機は「ピーピー」と音をたてて、

それは止まろうとはしなかった。

ぼくは、あわてて、そりまちたかしの楽屋のドアをノックした。

「そりまちさん、あの自動販売機、音が止まらないんですけど・・・」

すると、そりまちたかしは、「奥のみかちゃんに聞いて」と奥の部屋を指さした。

ぼくは、奥の部屋へ行き、「すみません、自動販売機・・・」というと、

またかっ。みたいな顔で立ち上がった。

彼女と、自動販売機の前に行くと、そりまちたかしは、自販機にケリをいれていた。

「だめですよ!そんなことしても!」彼女が言った。

これはですね、ここをこーして・・・はい。どうぞ。

どうやら、紙コップがつまっていただけらしい。彼女の手には汚れた紙コップがひとつ。

ぼくはまた茶色い固いソファーに座り、残ったコーヒーを飲んだ。

 

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